小説 | ナノ

※時代設定完全無視

 ジョースターエジプトツアー御一行の旅路において、宿泊施設利用時の部屋割りは固定して決めている。
 ツインの部屋三部屋の場合、中央に近距離パワー型の承太郎、ポルナレフ。左右にそれぞれジョセフと花京院を配置し、お互いのスタンドで敵の接近を探る。そうすると攻撃力のないジョセフと相部屋になるのは承太郎と並ぶすさまじい火力のアヴドゥル。直接攻撃が苦手な公子は花京院と同室になる。
 今日は車中泊をいい加減に終わらせようということで、躊躇ったが道すがら見つけたモーテルに一泊することになった。
「あの……我々は完全に同性愛者として見られるんじゃあないでしょうか」
「二度と会うことない連中に気を使ってどうする」
「気が進まないのは皆同じじゃ。お前ら、車内でちょっと待っておれ」
 ジョセフが一人でチェックイン作業を進め、カギを三つ持ってきたところでフロントと目を合わせないように駆け足で部屋に入る。
「フロントでウロウロするから気恥ずかしいことになるんじゃ」
「なるほど」
(ジョースターさん、慣れてるな)

 横に三つ並んだ部屋にそれぞれ入室する。高校生である花京院、承太郎、公子はこういう施設に足を踏み入れること事態が初めてだった。枕元にある大量のボタン類に怖くて手が出せない。
「これ、なんでしょう」
「有線じゃないかな?」
「こっちは……あぁ、アラームを設定できるのか」
 書かれた英語を記憶を頼りに解読していく。二人が慎重になるのはもちろん理由がある。
(変なボタン押すといかがわしい展開になりかねない)
 一通り室内施設を見て回り、年の為の脱出経路確認も終えたところで花京院が棚の中に何かを見つけた。
「……っ!これはっ!」

 一方、中央に位置するポルナレフ承太郎部屋。先に承太郎がシャワーを借りると言ってから室内が相当にやかましい。配水管の問題でもあるのか、シャワーを使っている間ガンガンと音がするのだ。
(テレビ見ようにもうるせぇからなぁ)
 ポルナレフがリモコンのチャンネルボタンをまわす。そう言いつつ画面内に映るペイチャンネルは音がしようがしまいが関係ないのではなかろうか。結局通常チャンネルで天気予報をぼんやり眺めていると承太郎がシャワーを終えたのか急に部屋が静かになった。そうすると今まで水音と配管の軋みに隠されていた声がぽそぽそと耳に届く。男と、女の声。
(花京院達か)
 承太郎がシャワールームから出てくると、壁に張り付く蜘蛛男がいた。一瞬、スタンド攻撃を受けているのかと身を固くさせたがポルナレフの顔を見るとそうでないことがすぐにわかった。
「……おい」
 シッ!と口に人差し指を当てて怒られる。ジェスチャーで「こっちにこい」と手招きされたので、乗り気ではないが一応近づいてやる。壁を指差し、耳に手をあてる。聞けということか。
「遠慮するぜ」
 だがポルナレフはくじけない。首を横にふり、お願いのポーズもする。
「知るかよ……」
「だーっ。つれねぇな。こういうのはさ、聞くことよりも一緒に下種な話をするのが楽しいんだよ。な?な?」
 承太郎は明らかに引いた顔をしていたが、公子の「アッ!」という声にどうしても意識が向いてしまった。ポルナレフのこの顔、そして先ほどの小さな悲鳴。隣の部屋で行われていることを明確に想像してしまう自分の若さが情けなかった。しかし、「耳!あてずにはいられないっ!」

「花京院くん、やめ……あたっちゃう!」
「そりゃ当ててるからね」
「やっ!ダメ……」
「じゃあそろそろ行くよ」
「ダメダメダメ絶対ダメ!」
「いきなり抵抗するね。そっちの方が燃えるからいいけど」
「え、ウソ!え……このキノコみたいなのすごい」
「キノコみたいというかまぁ……キノコだよ。じゃあ、抜くね」
「やだやだ、抜かないで!抜いちゃやだ!」
「いきますよ……………………っ、はぁ、フィニッシュです」
「うっそ……はやいよ……」

「なぁポルナレフ」
「なんだ」
「俺達もやるか」
「はっ!?」
「いいから」
「ちょっと待て承太郎!俺にそういう趣味はねぇ!短い付き合いだがその位分かってるだろ!」
「まぁ待て。お前は盛大な誤解をしている」
 承太郎がテレビラックの下にもぐりこむと、何かを取り出した。
「これだ」
「え?」
「ガキの頃、ダチの家で少しやったことがある」
 カチリと電源を入れた。

 コイーン!♪テテテテーレテーレテッテッ、テッテッテッ、テーレッ♪



「あんだけ耳近づけたらここのBGM聞こえてたろ」
「アノ、ジョウタロサン、コレハ、ナンデスカ?」
「マリカーです」


「花京院くん、やめ……甲羅があたっちゃう!」
「そりゃ当ててるからね」
「やっ!ダメ……」
「じゃあそろそろ行くよ」
「ダメダメダメ絶対ダメ!」
「いきなり抵抗するね。そっちの方が燃えるからいいけど」
「え、ウソ!え……このキノコみたいなのすごい」
「キノコみたいというかまぁ……スピードアップのキノコだよ。じゃあ、追い抜くね」
「やだやだ、追い抜かないで!追い抜いちゃやだ!」
「いきますよ……………………っ、はぁ、フィニッシュです」
「うっそ……はやいよ……」

公子は周回遅れの8位。
花京院は初心者にも手加減ナシ。


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