君の世界に色が付く。

 なんとか無事に買い物を終えて、家に帰る。涙は買い物を楽しんだようで、表情にこそ出ていないものの、ご機嫌だった。

 玄関に入った瞬間に、ちゅっ、とキスをしてみる。そうすると涙も照れながらもキスを返してくれて、可愛かった。本当に、俺の涙に対する態度がくどいくらいに甘いなあと自覚しているけれど、涙が喜んでくれるからどうしてもやってしまう。キスをするたびにとろんと目を蕩けさせて幸せそうな顔をされるんだから、暇さえあればキスをしたいって思うのは、仕方ないことだ。



「料理どのくらいできる?」

「……家庭科でくらいしかしたことないから……」

「じゃあ料理も花嫁修業な!」

「……うん、」



 荷物を置いてそんなことを話していれば、涙がきゅっ、と抱きついてきた。俯いて顔を隠して、俺の胸元にすっぽりと入り込むように抱きつかれて、もう俺の心臓は痛いくらいにきゅーんとなる。



「俺と結婚してくれたら、ほんとに幸せにするからなー」

「……うん」

「俺は涙と一緒にいれば幸せ」

「……うん」



 とんとんと肩を叩けば涙は顔を上げて、その泣きそうな瞳を見せてきた。この目が、ほんとうに好きだ。少し表情の乏しい涙の心のうちも、この目が教えてくれる。今、涙は……本当に嬉しいって思っているんだなとわかれば、無意識にキスをしてしまう。



「ん……」



 すると、涙が、教えたばかりのディープキスをしようとしてきた。遠慮がちではあるけれど、舌先を俺の唇の間に滑り込ませてくる。可愛いって思いつつ、どうしようかなと俺は一瞬考える。このまま涙がどこまでやってくれるか待ってみようか、それとも俺も返してやるか。でも、たしかに涙にいじわるなんかもしてみたいけれど、それよりも涙が望むことをしてあげたい。今、涙は俺と繋がることを求めている。だから……



「んん……」



 俺も、舌を伸ばして涙のものと絡めてやった。その瞬間、涙の脚から力が抜けて、崩れ落ちそうになる。やっぱり、キスで腰が抜けたらしい。それでも俺が腰を支えながらキスを続けてやれば、涙は嬉しそうにはらはらとなみだを流した。



「あ……」

「涙……顔、とろとろ。かわいい」

「ば、か……あ、……んっ……」



 流れ落ちるなみだに、唇を這わせる。必然的に顔全体を唇で撫ぜるような感じになって、涙はうっとりとして甘い声をあげた。「かわいい」「すき」っていっぱい言いながら涙のなみだを奪っていけば、涙は「ゆき」って甘えたような声で呼んでくる。



「へへ、料理、しよっか」

「んー……」

「ん? もっといちゃいちゃしたい? このままキッチンでエッチする?」

「ば、ばかっ! しないから!」

「そうだねぇ。ご飯食べたあともエッチなことはするから、今はご飯つくるのがんばろ」

「えっ、えっ……ち、なこと、するの?」

「してほしくない?」

「……」



 夜には親も帰ってくるし、するとしたらいつもみたいに涙の身体を触るくらい。それでも、俺は涙を可愛がりたい。涙も……エッチなことをされたいようだ。うぶなことに顔を真っ赤にして、俺にキスで「エッチなこと、して」と伝えてきた。



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