君の世界に色が付く。
「母さんたち帰ってくるの、9時くらいだって」



 部屋に戻って、二人でベッドに横になる。しょうもない会話をぽそぽそとしながら頭を撫でてやると、涙はうっとりとしたような顔をした。すっかり俺に触られることに慣れたようだ。むしろ触られることが好きになっていると思う。



「なあなあ涙、昨日の話覚えてる?」

「どの話?」

「んー? 今日、めちゃくちゃに抱くって話」

「えっ」



 甘い雰囲気になってきたところで、そろそろ、と俺はぶっこんでみる。晴れて恋人になったんだし、俺は涙とエッチがしたい。

 尋ねてみれば、涙は想像通りかっと顔を赤らめた。あわあわとしだして、俺から逃げようとする。でも逃してたまるかと俺がのしかかってやれば、涙はぐっと俺から顔をそらす。



「しっ……知らないっ、覚えてないっ……!」

「拒否はなしって言ったよな」

「ばっ……だ、だって……あれは、もう結生と関わらないつもりでいたから……ひゃんっ」



 可愛いなぁ、なんて。俺は涙の服をめくりあげて、おへそをくりくりっと撫でてやる。ここは昨日触ったところ、涙の性感帯のひとつ。やっぱり涙はぴくぴくっと震えて、可愛い反応を見せてくれた。



「俺、涙のこと好きだからエッチしたいな〜」

「んっ、……あっ……でっ、でもっ……」

「でも?」

「んんっ……俺……女の子じゃないから、……それに、はじめてだし……結生のこと、満足させてあげられない……ぁ、」



 おへその周りを摘んで、くにくにと揉んでやる。脚をもじもじとさせながら泣きそうになっている涙は……もしかして、エッチをする恥ずかしさよりも、自分に自信がないから拒否をしているのだろうか。



「昨日はそんなこと言ってなかったじゃん。どうした、急に」

「だって……昨日は、え、え……エッチが失敗して嫌われてもいいかなって……どうせもう関わらないしって、……」

「エッチした相手のこと嫌う奴があるかー! 大丈夫だって、涙はこうして可愛い声出してくれれば俺は大満足!」

「俺の声可愛くないからっ……」

「めっちゃ可愛いよ! ほら、」

「あぁんっ……」



 きゅっ、と服の上から乳首を摘むと、涙はビクンッと腰を跳ねあげながら甲高い声で鳴いた。自分の声にびっくりしたのか涙はパッと自分の口を両手で塞いで、目を白黒とさせている。



「可愛いから、涙」

「まっ……待って、結生……あっ、あっ、」



 こりこりと乳首をいじってやると、涙は気持ちよさそうな顔をして甘い声を出した。あまり人に触れられたことがないからだろうか、涙の身体はかなり敏感らしい。いやいやと言っていたのにあっという間に顔を蕩けさせて、くったりと身体から力が抜けてしまっている。



「ほ、ほんと……俺……え……っち、とかよくわからなくて、」

「いいよいいよ、俺が全部教えてあげるから」

「いっ……いいってば、結生……んっ、ぁんっ……だめっ……」



 ぺろん、と服をたくしあげて胸まで露出させてやると、涙は手のひらで顔を覆い隠した。俺が萎えるとでも思ったのか「女の子じゃない」とか言っていたけれど、涙の身体は綺麗だ。萎えるどころか、興奮してしまう。白くてするっとしていて、いやらしさなんてない身体なのに、俺の触ったところがひくひくとしてして艶かしくて、そのギャップが興奮を煽る。

 その身体に手の平をすうっと滑らせると、涙はぎゅっと目を閉じて腰をかくかくと跳ねさせた。胸から腹までを大きく円を描くように撫でてやると、くんっ、と身体が仰け反っていく。



「あっ……あっ、! や、やめっ……声、でちゃ……」

「出していいよ、可愛い」

「あっ……だめっ、だめっ……ひっ、……くっ、う、ん……っ!」



 すうーっ、と身体を撫であげていくと、涙は口を抑える手にぎゅーっと力を込めて身体を硬直させる。もじもじしていた脚がきゅっと内股に締まって、そして……びくんっ!と一際大きく跳ねた。そのあとは仰け反っていた身体は元に戻って、小さくひくっ、ひくっ、とビクついている。

……もしかして、イッた? 想像以上の敏感さにびっくりしたけれど、同時にドキドキしてしまう。



「ば、ばか……身体、変になる、だろー……」

「変になるっていうか……めっちゃエッチ」

「俺がえ、エッチみたいに言うなよ……! 結生が悪いんだからな……!」

「えっ、俺ェ!? なんで!」



 イッて、身体のなかの熱を放散できたのか少し強気になっている涙。でも、可愛い。顔を真っ赤にして涙目で睨まれると、そろそろ俺のものも勃ちそうになってしまう。



「結生が触るからだよ……結生に触られると身体が反応するんだってば……!」

「へっ」

「だから、俺のことエッチとか言うな!」



 かあっと顔が赤くなったのが自分でもわかる。涙は自分の言っていることの意味がわかっているのだろうか。俺に触られたから感じてしまうって……それ……



「……おまえ、どんだけ俺のこと好きなの……」

「なっ……えっ……!?」



 俺はきゅんきゅんのあまりへなへなと体の力が抜けてしまって、涙の肩口に頭を落とした。俺に触られるとイクって、よっぽどだよな……と涙の左胸に手を当ててみると、可哀想なくらいにバクバクといっている。つられて俺も凄まじい勢いでドキドキしてしまって、口から心臓が出てきそうだ。

 顔をあげれば涙がとろーんとした目で俺を見つめてくる。すごい破壊力。俺のことでいっぱいいっぱいになってこんな顔をするなんて……なんて可愛いんだろう。



「涙……ちゅー、しよ」

「……ん、」

「……べろちゅー」

「えっ、ええっ」

「舌絡めるやつ」

「まっ、て……それ、わかんない、……んんっ」



 たまらずキスをしたくなって、俺は涙の唇を奪った。舌先で涙の唇をにゅるっと撫でてみれば、涙はびくっとして唇をわずかにあける。その隙に舌を涙の口の中に滑り込ませると、涙は「んーっ」って唸りだした。

 びくんっ、びくんっ、って震えて涙は俺の背中にしがみつく。そういえば体の内側にはいるのは初めてだな、と舌を挿れてから気付いた。涙、怖がってないかな、と不安になっていったん唇を離す。



「ご、ごめん……やって大丈夫だった?」

「ん……ばかっ……」

「ごめん……いったん止めておこう、うん、」

「ま、まって……」



 涙はぽろぽろと泣きながら顔を赤くしていた。やばい、って思ったけれど、涙は俺をぎゅって掴んで離さない。

 はー、はー、って息を吐きながら、涙は息を整えている。唇をもごもごとさせていて、何かを言おうとして言えない……そんな様子。がんばれ、って顔をそっと撫でてやると、涙は震えながら口をそっと開く。



「……も、一回……して……」



――この、ばか。どんだけ可愛いんだよ。

 あんまりにも涙が可愛くて、いっそ怒りすらも覚えるほど。これを無自覚でやっているんだからこいつはすごい。



「……じゃ、べろちゅ、教えてあげるから」

「ん……」

「舌、出してみ」

「ん、ぁ……」



 涙のなみだをみると、劣情を煽られる。それは変わっていないから一気に襲いかかりたくなる――そんな衝動を抑えるのには苦労した。でも、ここが一番大事なところな気がしたから必死に我慢をする。初めてのディープキスと、初めてのエッチ。ここで涙を怯えさせてはいけない。

 ゆっくり、ゆっくりと進めていこう。そう思って俺が涙に指示をしてみれば、涙は素直にその薄く開いた唇から舌を出した。ふるふると震えながら、羞恥に顔を赤くしながらそんなことをされて、うっかり下腹部が熱くなる。でも、我慢。



「そう……じゃあ、俺が舌を挿れたら、涙も俺の口の中に舌挿れろ」

「……いれたら?」

「舌を動かして、俺のと絡めて」

「……ん、」



 よしよし、がんばれって。俺は涙の頭を撫でると、かぷっと唇にキスをした。



「んっ……ん、ん……」



 涙の頭を両手で支えるようにして、深いキスをする。舌をなかにすべり込ませると、さっきと同じように涙はびくびくと震えだした。少し目を開けて涙の表情を伺ってみれば、涙はぎゅっと目を閉じていてものすごくがんばっている、って感じがする。

 やっぱり怖いのかな……そう思って、極力優しく涙の舌を愛撫した。どうしたらいいのかわからないで動かせないでいる涙の舌を、丁寧に舐っていく。指先で髪の毛を梳きながら、優しく優しく涙を愛でてやった。



「……ん、……ふ……」



 そうすると、やがておずおずと涙も舌を動かし始める。ちょい、と舌先で俺の舌をつついて、そしてゆっくりと奥にいれてくる。いい調子、って涙の頭をなでなでとしてあげて、俺は涙に合わせてゆっくりと舌を動かした。やがてこわばっていた涙の体から力が抜けて、涙は俺をそっと引き寄せてくる。



「あ……ん、……ふ……」



 すっかり声が蕩けてきて……涙の舌の動きも積極的になってくる。もう一回瞼を開けてみると……涙も俺をみていて、ばちっと目が合ってしまった。さっきの緊張感丸出しのぎゅっと閉じた目とはちがって、とろんとしている。気持ちいいんだな、そう思うと嬉しかった。



「涙……べろちゅー、気持ちイイ?」

「ん……もっ、と……」

「んー、はいはい。いっぱいキスしよ」

「うん……」



 濡れた瞳で、涙はキスを懇願してくる。もう、きゅんきゅんがとまらない。涙のやつ、デレデレじゃないか。いつものツンとのギャップが凄まじくて、くらくらしてくる。

 俺も気を抜けば顔がデレッとにやけてしまいそうで、がんばってキメ顔を維持し続けた。リードする側がデレデレしててどうすんだ、という使命感だ。すっかりとろとろな表情になった涙の顔にキスの雨を降らせてやると、涙がうっとりとした様子ではあっ……と息を吐く。そして、ご要望通りに再び唇を奪えば、びくびくんっ、と身体が震えて仰け反った。



「ふっ……あっ……あ、……んんっ……」



 今度は、少しがっついてみた。涙の口のなかを舌でぐいぐいと掻き回して、至る所を刺激する。舌を丁寧に舐めあげて、歯茎の裏をこすって、隅々まで弄ってやる。涙はもう動けなくなってしまっていて、舌はふるふると震わせるだけ。でも、俺を掴む手には力がこもっていて、もっとして、ってせがんでいる。

 かく、かく、と動き出す涙の腰。のけぞり、浮いた腰に手を添えてぐっと俺の腰に落ち着けてやれば、「んんーっ」と涙が声をあげる。下腹部をくっつけて気付いたけれど……涙のが、堅くなっている。キスで感じてるのか……可愛い……そう思ってさらにぐいぐいと腰を押し付けてやれば、涙の身体は小さく痙攣して……



「あっ……あぁっ……!」



 俺が唇を離すと同時に、イッてしまった。虚ろな目をして、甲高い声をあげて……それはもう扇情的なイキ方で。



「……涙」

「ゆ、き……」



 くったりとして、熱に浮かされながら俺を見上げる涙。はー、はー、と艶めかしく呼吸をして、胸を上下させている。胸元でぴんっと勃っている乳首がやらしい。



「舐めていい?」

「ん、……?」

「全身、舐めていい? 涙の身体、思いっきり愛したい」

「……、」



 ほんのり汗ばんでつるつるとした肌をみていると、食べたくなってくる。一応聞いてみれば、涙は恥ずかしそうに唇をきゅっと噛んだ。そして……胸を半分ほど隠していたシャツを、ゆっくりとたくし上げて、完全に上半身を俺にさらけ出してくれる。前も、昨日も「OK」をしてくれた。口で言えないから、動きで答えてくれる。涙はわかっていないのだろうか、口で言うよりもそれは余計にいやらしいってこと。とろんとした顔で自ら肌をみせてくれるその様子は……「たべてください」って言っているみたいで、ゾクゾクする。

 俺は涙の耳元にくちづけた。そして、耳腔にぬるりと舌を差し入れる。涙がぴくんと震えて「あっ……」と儚い声をあげ、俺を抱きしめてくる。



「かわい……涙、……好き」

「あっ、……ひっ、……やっ、結生……」

「好き……」



 耳元で囁けば、涙の声が蕩け出した。ぐずぐずになって俺の肩口に顔を埋めて、甘い声をこぼしている。ほんとうに可愛い。可愛すぎて、どうにかしたい。



「あっ……あ、あ……」



 涙の全身を撫で回す。細い腰をぐっと持ち上げて、もう片方の手で胸元をぐいぐいと揉みあげて。強制的にのけぞるような体勢にされた涙の身体は、ひどく艶かしい。すっと筋肉の筋が綺麗に通ったお腹がひくひくとヒクついていて、涙のなかがきゅんきゅんしているのかな、なんて思う。乳首をぎゅっとひっぱってやれば、「はぅっ……」なんて可愛い声をあげながら、さらにお腹をヒクつかせた。



「下、脱がすよ。苦しいでしょ」

「待っ……やっ、はずか、し……」

「恥ずかしくなんてねえって。勃ってんのすでに丸分かりだし……感じてくれてるって思うと嬉しい」

「やっ……あ、……あ……」



 さっきから勃っている涙のものが気になったしょうがなかった。俺が涙のズボンを脱がせていけば涙はぱっと顔を覆って恥じらいをみせる。



「あ、すご……やーらし」

「うう……」



 パンツも脱がせて、涙の下半身がすっぽんぽんになった。脚も綺麗だなあ……なんて思いつつ、やはり目を惹くのがゆらゆらと勃っているそれ。パンツを脱がせたときに透明な糸が引いていて……先っぽがすでにちょっと濡れている。



「へへ、気持ちよかったんだ」

「み、みない、で……」

「エッチしているのにここみないでなんて、そんな無茶な」

「ま、って……触らな……ぁんっ……」

「かーわいい」



 ちょい、と指でつついてやると、ふるんとそれは揺れた。つん、つん、と何度かつついてみれば、涙は「あんっ、あんっ、」なんて可愛い声をあげて身体をビクつかせる。



「やぁっ……ゆき、……だめ……あー……」

「照れなくていいって。可愛いから。もっと顔みせて」

「あーっ……」



 先っぽをくちくちと弄ってやれば、どんどん透明な液体が溢れ出してきた。身体を触られたことがあまりない涙は、もちろんここを他人に触られたことなんてないだろう。だから俺がこうして触った時の大袈裟なくらいの反応といったらすごいもので、それはもう感じに感じまくっていた。溢れ出した透明な液体で、すでに俺の手はぬるぬるになっている。我慢している時にでる液体のはずだけど……俺はここまでびしょ濡れになったことはない。



「だしていいよ、涙。苦しいだろ?」

「うー、……や、だ……」

「遠慮しなくていいからさ、」

「ゆ、ゆき……」



 がんばって我慢を続けようとする涙をなだめてみる。エッチしたことない涙は、人前でイクのに抵抗があるのかもしれない……そう思った。

 でも、違っていたようだ。涙はゆるりと手を伸ばして、俺の下腹部に触れる。そして……



「いっしょ、に、……ゆき……」



 そう、言ったのだった。

 もう、それを言われた瞬間に俺のものは暴発しそうになって思わずうずくまる。「?」なんて顔してぽやんと見つめてくる涙に苦笑いを送ると、よし、と俺は起き上がった。



「……じゃ、一緒に、な。涙」

「……うん」



 俺はまず上を脱いで、そして続いてベルトを外す。俺の服が脱げていく様を涙は口に手をあてながらぽーっと見つめていた。あんまりじーっとみつめられると恥ずかしくて、俺は一気に脱いで裸になる。



「ゆ、き……」

「まあ、俺も勃ちますよ、涙がエロいから」

「え、エロくない……、!」



 涙は俺の勃ったものをみておろおろと視線を宙に漂わせる。うぶな反応ですごく可愛い。あんまりがっつかないように気をつけながら涙に覆いかぶさって、堅くなったもの同士をくっつける。



「……っ、ゆ、ゆき……」

「涙。手、こっち」

「ひゃ……」



 涙の手を引いて、涙と俺のものを軽く握らせる。そして俺は、その上から手を重ねた。微弱ながらもそれに刺激を与えられた涙はびくんっ、と仰け反って、いやいやと首を振っている。



「まっ、待って……そ、そんな……」

「だいじょーぶ。ちゃんと声出せよ」

「えっ、え……あっ……んひゃっ……」



 おろおろとする涙によしよしとキスをしながら、俺は腰を揺らし始めた。涙に覆いかぶさって、熱くなったところをこすり合わせるように腰を揺らす。動くたびに合わせたそれは重ねた手でしごかれて、ゾクゾクと快楽が走る。まるで……ほんとうにセックスをしているみたいだ。



「あっ、あんっ、あっ、あっ、……」



 俺が動くたびに涙は甘く蕩けた声をあげて、びくんびくんと震えた。俺の背に片手を回して、抱きついてくる。

 腰を揺らすたびに、ぞくぞくするくらいの快楽が弾け飛ぶ。手のひらのなかで俺のと涙のがこすれあって、ぬるっと刺激しあって、熱が膨らんでゆく。擦れるたびにあがる、涙の蕩けた声が可愛くて可愛くて、もっと聞きたくて、どんどん腰の動きを早めていけば、涙はぐっとのけぞりながら「あー……」、とどうしようもないような声を出し始める。



「いっ……い、……く……ゆき、……だめー……」

「イッていいってば」

「やっ……でちゃ……う……あぁ……っ、」



 ぎし、ぎし、とベッドの軋む音が、さらに「セックスをしている感」を演出していて興奮する。でも、「だめ、だめ、」って泣きながら呟いて、はあはあと息を荒げる涙の様子が一番俺の劣情を煽ってきた。涙のなみだに興奮してしまうこの性分、そんな仕草をされると、余計に激しくしたくなる。一度火がつくと……止まらない。



「あぁっ、あっ、いっ、いくっ、だめ、だめだめっ、」

「いけ、って……涙。一緒に、いこ」

「あっ、……んんっ……」



 唇を塞いで、そして一気に手を動かして熱いものをしごきあげる。腰も早く揺らして、ベッドの軋み音をわざと大きく揺らしてやった。ぶんぶんと顔を振りながら、俺の下で涙が暴れる。ギシッ、ギシギシ、とどんどん軋みは大きくなっていって、俺たちの興奮はひたすらに盛り上げられていって……そして。



「んっ……んんっ……!」



 涙はのけぞり、腰を持ち上げながら、びゅるびゅるっと精液を吐き出した。



「……っ、」



 俺も、涙がイッた事実に興奮が最高潮に達して、出してしまう。涙のと一緒に、吐き出した精が涙の腹に飛び散ってしまった。



「ご、……ごめん、」

「あ……」



 唇を離せば、涙はぼーっとしながら、精液のついた自分の腹を見下ろしていた。そして、ゆっくりと手を動かして、その精液を指に絡め取る。



「……ゆき、」

「ん、」

「……、」



 茫然自失としながら、涙は俺の手に触れて目を見つめてきた。唇が、はく、と動く。唇が、寂しいのか……そう気付いて俺がまたキスをしてやると、「ん……」と蕩け切った声を漏らしてそっと抱きついてきた。

 絶頂の後の、気だるい余韻が俺たちを包んでいた。何も考えることができないまま……しばらく、キスに夢中になっていた。



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