君の泣き声が聞こえる。

 メッセンジャーで軽く放課後の計画なんかをたてたけれど、逢見谷のメッセージはやたらとテンションが高い。女子か!ってツッコミたいくらいに顔文字と絵文字が乱舞していて、メッセージの一覧が随分と華やかだ。女の子と付き合っていたときのことを思い出して内心苦笑いしながらメッセージを続けて、放課後を迎える。



「藤堂せんぱーい!」



 校門のところで待っていた逢見谷は、メッセージ以上にきゃぴきゃぴとしていた。飼い主が帰ってきたときの子犬のような反応はなかなかに可愛らしい。

 これからの予定としては、どこかで涙にお見舞いの品を買ってから病院にいく。初対面のやつといきなり二人で過ごすなんてどうなるかと思ったけれど、逢見谷の軽い雰囲気だとどうとでもなりそうだ。



「おまえ今日生徒会は?」

「今日はお休みの日なんですよ〜!」

「へえ、そうなんだ」



 逢見谷は結構顔が広いようだ。学校から駅につくまでに、色んな人に声をかけられている。俺もそれなりに友達は多い方だけど、ここまで賑やかな帰り道は初めてかも知れない。あっという間に駅について、時間が経つのが早いな、なんて思う。

 お見舞いに持っていくのは果物とかでいいかな、と思った。入院の期間が短いみたいだし、豪勢に花を持っていく必要もないだろうと思ってのことだ。それなら駅前にある果物屋とかで買えるから、そんなに二人でぶらぶらする必要もないと、そう思った。……のは、俺だけのようだ。



「先輩先輩、ちょっと遊んでいきましょう」

「いいよー」

「へへ、デートですね」

「変な言い方すんなよ」



わちゃわちゃとしている逢見谷のことだ、そうくるだろうとはなんとなく想像がついた。まあまだ明るいし、ちょっとくらいならいいか、と逢見谷に引っ張られるように俺は街のなかへ出て行った。




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