夏戦 | ナノ

 現代っ子恐るべし

負けました。
最後のほうは1位取りまくったけど、トータル負けしました。
こんなんなら1ヶ月に1回くらいDS触るべきだった。
いや、それに山道がガタガタしてて操作しにくいのも理由だよ。
私は負けてやっただけなんだからね、勘違いしないでよね。

「「ばっつゲーム!!ばっつゲーム!!」」
「分かった!分かったから一旦落ち着こう少年ども!」

いくら乗客が私たちだけだからって
そんな騒がなくっていいのよ!ほらほら!お母さんたちが笑顔でこっち見てるやめて!

「どんな罰ゲームにする?」
「こすぷれとかいう奴?1日喋っちゃ駄目とか?」

祐平少年よ、コスプレなんて言葉どこで覚えた。

「いや、1日喋っちゃ駄目にしようぜ!」
「「いえーい!」」
「わ、わーい」
「「しーっ!!」」

ごめんね、お姉さん黙るよ。
というか、考えたら私そんなに喋んないわ。
こんな見知らぬ地でペラペラ喋られないよ。これはもう罰ゲームにもなりませんね、少年ども。ざまあみやがれ!

「なまえちゃーん、もうすぐ降りるよー」
「あ、」

子供2人の視線が怖い。
ごめんなさい夏希さん、頷くので勘弁してください。

恐怖のデス・カートゲーム(私命名)は夏希さんの一言で終了し、陣内前の停留所で降りた。陣内前に停留所あるってすごいね。
そしてさらにまた親戚が増える。
そんな増量キャンペーンお断りですって。

一体どれだけの親戚がいるの。これ以上いたらもう死ぬ。

合流した親戚さんは、なんだかほのぼのしたショートカットの人だった。

「あの美南さん、そちらの女の子は?」

「奈々ちゃんは初めてだっけ。私の娘でなまえっていうの。
人見知りだけど仲良くしてあげて」

「はじめまして、こんにちはなまえちゃん。
奈々って言います。この子は娘の加奈です、仲良くしてください」

奈々さんは典子さんや由美さんとは違って近づきやすい空気が漂う女の人で、ちょっと安心した。
だからって人見知りが変わるわけではないのだけれど。
真悟くんも祐平くんは…よし、先走ってる。

「は、はいっ。よろしく、です」
「なまえちゃん?何でさっきからキョロキョロしてるのー?」
「…祐平くんと真悟くんが、いないかどうか、です」
「祐平と真悟?なんで?」
「罰ゲーム、で…」
「あー、なるほど」

笑われた。泣こう。そして申し訳ございませんがあんまり長時間の会話は無理です。
今のは長時間に分類されるよ。

ここからは徒歩で、上り坂を上っていくらしく、キャリーバックを引っ張っても下がってく一方。
男の人は女性陣に囲まれていたけど、結局は置いて行かれてた。
ちなみに私の後ろを荷物を抱えて歩いてる。
はぁ。上っても上っても切りが、な…い。

「「うわあ……」」

突然平地になったから着いた!って思ったんだけど。

え。何ここ。何処かの城?
そういえば武家の16代の人だっけ大おばあちゃん。それなら納得いく…

「あの…」

え。話しかけられた?

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