一年生組
2013/07/23 01:07
夏が始まろうとしていた。
いや、ここ数ヶ月の気温からも分かるとおりもうとっくに夏を迎えていたけれど。
今日も茹だるような、むしろ溶けてしまいそうな、それもかなり厳しい暑さだ。汗が止まらない。
まぁ、それはともかく、夏が始まろうとしていた。俺たちの夏。そう、今日から夏休みに入った訳だ。正しくは明日からかもしれないけど、クソ暑い体育館の中での終業式を終えて、事前に貰っていた通知表には見えないフリをして、部活は軽いミーティングだけで済んで。俺たちは勉強から学校から何もかもから開放されたんだ(こんな言い方をすると先輩達が怒りそうな気がするから黙っておくけど)
充分すぎるどころか留まる所を知らない程に熱されたアスファルトを踏む履きなれたスニーカーでの足取りも軽く、俺たちはさんさんと照りつける太陽によってそれぞれの影を5人分落としながら帰路についていた。
周囲に人気は無い。当たり前か。こんなに暑い時間帯によっぽどのことが無い限り外に出る訳が無い。そう思っていると俺より前を剣城くんと一緒に歩いていた天馬くんが楽しそうに振り返ってきた。
「夏休みっ、始まったなぁ〜!サッカーの練習はもちろんだけどみんなでいっぱい遊ぼうな!」
「…天馬がそんなことを言うなんて珍しいな」
「えっ、そうかな?」
「そうだよー。天馬のことだから絶対24時間サッカーしようぜって言うと思ってたもん」
「さすがにそこまで言わないよ!それに、せっかくの夏休みなんだから思い出もいっぱい作りたいなって」
「そうですよね。みんなで過ごす、中学生になってから初めての夏休みですもんね」
「中一なんだからそりゃそうでしょ。当たり前じゃん」
「わかりました狩屋くんは僕たちと遊ばないんですねどうか二学期までお元気で」
「「バイバイ狩屋〜!」」
「残念だな狩屋。ざまあみろ」
「ちょっ、ひどくない!!?何でそうなんの!!?俺も遊ぶよ遊ぶ遊ぶ遊ぶから!!!!」
輝くんや天馬くんほどじゃないけど、みんなで過ごす初めての夏休みに浮かれていたのは俺も同じ。現に剣城くんだって、いつもより機嫌が良さそうだ。信助くんはまぁいつもどおり楽しそうだけど。っていうか天馬くんとめっちゃはしゃいでるけど。
「天馬は夏休みにしたいことって何かある?」
「うーん、そうだなぁ…あっ、プール行きたい!それか川か海!水中でサッカーしてみたいよね!」
「どんどん規模がでかくなると思ったら結局サッカーに戻るのか」
「あれっ?…そういう剣城は何か無いのかよー?」
「そうだな……とりあえず夏休みの宿題を片付けたい」
「げぇぇ剣城くんマジありえねー!!そういう発言は良い子ちゃんの発言でしょ、っつーか輝くんが言いそうだよね」
「どういう意味だ」
「あはは、僕もまだ半分くらいしか宿題終わってませんよ〜」
「「「「!!?」」」」
日数にして、約40日ちょっと。その中でどれだけ1日まるまるオフの日があるのかなんて予想も付かないけど、大好きなサッカーの練習なんだから文句は言えない。それこそサッカーばかりの毎日なんて最高なんだから。だけどやっぱりお楽しみもいるよね。
まだまだ予定は白紙、絵日記だか観察日記だかもちゃんと埋まるかどうか自信無し。でも、それで良いんだ。だって夏休みは今日始まったばかりだから。
「ねーねー、まず今日は何する?」
「うーん、そうだなぁ……コンビニに寄ってアイス買おうよ!」
「だからそれいつもと同じだろ…」
「僕、新発売のアイスが食べたいです〜」
「確かあそこのコンビニ新しいキャンペーンやってなかったっけ?うわー、気になってきた」
「それじゃあコンビニまで競争だー!!よーい、どんっ!」
「「暑いから嫌だ」」
「ちなみにビリが全員にアイス奢りだからねーっ!」
「なっ!?」
「ヒキョーだろそんなの!!」
「走れ走れーっ!!」
「うぎーっ!絶対負けないですー!」
俺たちの夏休み、みんなで過ごす初めての夏休みはまだまだどうなるかわからないけど、とりあえずスタートは好調だ。
(青く眩しい)
(輝くこの夏空に)
(僕等は駆け出した)
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桜兎の言うことだから信用しちゃダメですけど(笑)、
一年生組の夏休みネタをたまーに更新してシリーズ化したい…。
一年生組ほんと可愛い(*^^*)
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