蘭拓
2013/08/08 13:11
※背後注意。R15
躊躇えばきっと、また動けなくなってしまうから。
その凛々しさが眩しくて、その優しさが温かくて。微笑みが、愛しくて。
目を逸らせないのに、どうしようもなく逃げ出したい自分が居るんだ。
遠く遠く、お前が離れていくような、そんな気がして、
そんな予感がするんだよ。
「霧野、」
「きりの……きり、の…っ」
「きりのぉ……」
「……っなに……」
ぽた、ぱたたと頬を肌を伝って汗が散っていく。
震えるような、縋る様な声に視線を辿らせると組み敷いた神童が羞恥も建前も理性も全て投げ出したように泣きながら必死に俺の名前を呼ぶ。
「っあ、…しぃ……」
「……泣いてたら、何言ってるかわかんないんだけど……っ」
「……っはげ、し……とま……っあ……止まって……!」
「……悪い。無理……」
「っあ、霧……っんぅ…あぁ…っ」
ごめんな、
頭の中では、ひとかけらの理性ではそう思うのに。
誰にも説明できないような衝動が感情が欲が止められない我慢できないって俺に叫んでる。だから、無理。
縫い止めるように繋いだ手にも汗が落ちて、涙のように流れていくのに。神童が、泣いてるのに。全部全部、俺は奪っているはずなのに。
「足りないんだ、神童……っ」
もっと、もっと俺の名前を呼んで、抱きしめて、繋がって満たしてよ。神童。
なぁ、絡めた指先に今伝う雫は、どっちのものだったんだろうな?
(熱中症)
(下がらない熱すら)
(ずっと独占したくて)
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夏なので…思いつきで…やらかした……
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