Q&A
 

11/10/25 Tue (07:21) ● きみをよぶ


シルヴァへ


スグリの待つ家に帰るのは嬉しいですか?

「あ、シルヴァ」

最初のころこそひとつも分からなかったシルヴァたちの言葉も、ここでの暮らしも日を経るごとに少しずつ理解できるようになってきていた。いまのシルヴァの声はただいまだ、だとか、おかえり、をかれらのことばでなんていうのだろうか、とかは、子供が言葉を覚えるように自然と身についてくる。

「おかえりなさい」

かれらの言葉でそういうと、矢筒を肩から下ろしたシルヴァがくしゃりと笑ってくれた。それからアザミが丈夫な篭が欲しいといったので編んでいた蔦を一旦机に置いて寄ってきたスグリの頭をくしゃくしゃと撫で、頭ひとつ小さなスグリの顔を覗き込む。

その目があんまりにやさしいので、スグリの胸はふわりと暖かなもので満たされた。こうしてシルヴァが笑ってくれるのは、とてもうれしい。いつだったかシルヴァがスグリに、スグリのことばで「ただいま」はなんていうのか尋ねてきたことがあった。かれにそれを教えると、スグリがかれにかれの言葉で話しかけるように、シルヴァはスグリの言葉で声をかけてくれる。お互い不自由な言葉で話しかけているのはなんだかひどくおかしかったけれど、それでもスグリはとてもうれしかった。

くしゃくしゃと思うさまスグリを撫で終えたシルヴァが、今日の晩は鳥を食べるだとか何か変わった事はなかったかだとか、スグリでもわかるような単語を並べて教えてくれる。そのとなりに寄り添ってそれを聞きながら、スグリは浮かび上がる柔らかな感情に胸を一杯にした。かれの妻になれないスグリでも、こうして家族のように大切にしてくれるのは、たまらなくうれしい。もしかしたらほんとうにかれの家族になれているのかな、と思うと、シルヴァの言葉にこたえるスグリの声も弾んだ。



11/10/19 Wed (21:17) ● その他


砂糖菓子の王冠より



ふたりのプロフィールを教えてください!


「高木龍太郎。年は23。職業は俳優」
「もうちょっとこうあるじゃん!お前ファンサービスが仕事だろ!」

べしん、と龍太郎の腿を叩いてやる。昔バスケをしていたせいか相変わらず引き締まった太ももである。早くグラビアとかやればいいのに、思いっきり引きのばして壁に貼ってやるのにな、なんて龍太郎に知られたら間違いなくげんこつされることを思いながら、俺はしかたなくかわりに高木龍一郎のプロフィールを読み上げた。

「身長183センチ体重70キロ。血液型はAで趣味はバイク、高校時代にバスケットでインターハイ出場経験あり、と」
「それ事務所の公表だろ。最近測ったら185センチだったぞ」
「ホントでけーよな、いつまで成長期なんだよお前」

バスケが出来て身長が高くて顔がいいんだから、もうこいつがモテないわけがない。ラブレターの橋渡しが面倒くさいあまり一時期は俺の靴箱の前に『龍太郎あてのラブレターはこちらへ』という袋をぶら下げていたくらいだ。龍太郎に没収されたけど。

「俺はもう良いから、次お前。忍」
「えー…、大野忍、年は23。仕事は龍太郎の愛人で…」

ごっつん、と振りかぶる勢いで殴られて、俺は思いっきり前のめりになった。なんてひどい男なんだ。高木龍一郎はDV男だった!とか俳優生命を断たれるスキャンダルだろ。後頭部をさすりながらぶつぶつ言っていたらヘッドロックをお見舞いされる。

「お前ってやつは、ほんとうに人の気も知らないで…!」
「いだいいだい!ギブギブ!!」

そっぽを向いてしまった龍太郎の背中にどーんとぶつかりながら、とりあえず俺は残りのプロフィールを言ってしまうことにした。照れちゃって可愛いのー、とかいってからかいたいのは山々なんだけどね。

「えっと、確か175?くらい。体重は63くらいだったかなー。O型で左利き。中学のころは俺もバスケやってたけど、才能がないことに気付いて高校では映画部だった」
「映画部とかいって、部費でDVD借りてきてゴロゴロしながら見てるだけの部活だっただろうが」
「良い部活だったよ、ほんと」

高校には色んな思い出がありすぎて、思い返すとすこしせつなくなる。大学の四年間はなんかいろいろあっという間だったしな。なんだかんだいって常に傍にいた幼なじみに寄りかかりながら、俺はまだそっぽを向いたままの龍太郎をどうやってからかってやろうかいろいろ考えを巡らせることにした。


11/10/19 Wed (20:25) ● マニュアル恋愛


マニュアル恋愛より。


柊と悠里は、あえて言えば何萌えですか?



「…何萌え、なあ」
「雅臣みたいに断言してるやつのほうがめずらしいよな。俺はあえていうなら手かな」

じっくりと考え込む柊をよそに、悠里はそう答えて柊の手を持ちあげた。蛍光灯に透かし見ると分かる、柊のピアノをひく繊細な掌がひどく大きいこと。

「柊手でかいよな」
「…そうか?」

すらりとした指の先から手首までを、何度も悠里の指がなでる。それがくすぐったくて照れくさくて、けれど引っ込めるのもいやだから、柊はそっぽを向いてそう言葉を絞りだすだけで精一杯だった。悠里の指のはらが短く切られた柊の爪の形を確かめるようになぞって、おもうさまにくすぐってから離れていく。それをひどくむずがゆく感じながら、柊はあっけからんとした悠里を複雑な思いで眺めた。

「手、触るの好きなのか?」
「キレイな手が好き。柊の手もすごくきれいだ」

お前喧嘩してあんなにもの殴ってるのに、なんでごつごつしてないんだろうな。そんなふうなことを言いながらまた悠里が手を伸ばしてきたので、柊は耐えきれなくて思わず手を引っ込めた。すき、という単語だけ切り取って、それでも胸が高鳴るのだから恋とは難儀なものである。

「柊は?」
「…うーん、…声?」

氷の仮面を外すと温度まで変わる、悠里のやわらかく笑う声。それを聞くたびに柊のこころまでふわりと暖かくなるから、たぶんかれの声が好きなのだと思う。あーなるほどなんて何をわかったんだか頷いているこの、自覚のたらない男を横目でみて、それでも柊は表情を笑み崩していた。


11/10/17 Mon (20:44) ● マニュアル恋愛


マニュアル恋愛より、雅臣へ

初めての企画参加がこんな回答で申し訳ないです\(^o^)/がすごくうれしかったです!ありがとうございました!これからもがんばります!



きゅんっ、ではなく初めてムラっ、とした時はどんなシチュでしたか?

「んー、悠里さ、ちょっと壁際に追い詰めて逃げられなくするとすごい困った顔すんだよね」
「…ふつうこういう話するとき、本人呼ばないだろう…」

げっそりしている悠里は意にも介さず、雅臣はそれはそれは楽しげだった。ほんとうのかれを知ってからはこんなふうな悠里にも慣れて、強気に振舞おうとして怯えをにじませている悠里に征服欲を掻き立てられることもない。

「やめろとか言う割に腕に全然力はいってないし震えてるし?」
「一年のときのお前なんて喧嘩の強い化け物みたいなイメージしかなかったしな」
「ちょ、化け物って…」
「三年生のボスと喧嘩したとか家がヤクザだとか財閥だとか兄貴が組長だとか、いろんな噂があったろう」
「…、それ、いちいち突っ込まなきゃだめ?そもそも俺一人っ子だしな?」

歯に衣着せぬ悠里と話すのを、けれど雅臣は楽しんでいるふうだった。雅臣がこんなふうに、まるでふつうの高校生のように振る舞うのは悠里や柊の前だけである。それを悠里もわかっているから、相手が雅臣なのについつい気を抜いてしまうのだ。

「二年生に絡まれてるの助けてやったときだっけ?俺が礼してくれよって言ったとき、ガチ泣きしそうだったじゃん。あの時かな。安心した顔がこわばるのがもう」
「お前ほんと変態だな。あのときはあんまりにもマニュアル通りだったから絶望したんだ…」

必死に雅臣を睨んでいるあの冷たい目の奥に揺らめいていた不安と安堵。助けろなんていってない、とようやく悠里が唇を震わせるまでのあいだ雅臣はそんな悠里を泣かせてやりたい、という欲望を抑え込むのに精一杯だった。ふだん冷たい態度の相手を泣かせたい、と思うのはギャップ萌えとして、いや男として当然だ、と雅臣は真顔で語る。

「あと、悠里絡まれてるとこ助けるとほんとホッとした顔すんだもん。可愛くて」
「お前の目は節穴か!」

生徒会長なんて目立つ役職についていると、余所はともかくこの学校では絡まれやすいというのが事実だった。悠里は周りにはそんなのも軽くあしらっていると思われているけれど、それももちろん演技である。とみに実力行使に出られては自分ではどうしようもできない悠里のことは、もちろん雅臣も放っておけないわけだ。最近は助けてやったあとに迫ったりすることもないので(それは、ふたりきりになると悠里が氷の生徒会長でいるのをやめるせいだ)ますます安心を直球で示されている。

そうなるともう下手にその信頼を失うのだって怖いわけで、でもそんな立ち位置を気にいっている自分はどうにかしている、と雅臣は思っている。けれどその感覚は、どうにも不快ではないのだった。

「こないだまた前の風紀委員長に絡まれてた時、ちょっと泣きそうだったじゃん」
「…帰っていいか?」
「だめ」

嬉しそうに悠里の腕を捕まえた雅臣が喜々として数々の出来ごとを語り出す。いたたまれなくて逃げようとしても、もちろん悠里にはムリだった。



11/10/17 Mon (20:38) ● その他

管理人へ



気に入っているキャラクターなどいますか?

まずはご質問ありがとうございました!管理人でございます。

やっぱりそれぞれ思い入れはありますね!ですがどのキャラがーーというよりかは小説本体自体に思い入れが強いのかなと思います。アヴァロンは未だ遠く、は創作のサイトを作ろう!と思ってかんがえ始めた設定ですのでこのサイトのきっかけですし、マニュアルシリーズはなんと「王道転校先をこてんぱんにする毒舌主人公のお話が読みたいです☆」というリクエストから始まったものでした。リクエストに添えなさすぎてもちろんボツだったんですけれども、なんとなく楽しくなって書いてたらこんなことになってました。今となってはほんとお前なんでそのリクエストでこんな話思いつくんだよって話ですが!

キャラクターでしたら、自分の好みを詰め込んだのはアヴァロンの二人とリオンとシルヴァ、短編だとうそだったんです。の堀内ですねー!

天衣無縫な天才タイプを放っておけない苦労性な世話焼きっていう組み合わせがたまらなくすきです。たまらなくすきです。あと幼馴染はわたしのジャスティス。あとはリオンみたいに二面性のある可愛い子とかすごく好きですねー、猛犬注意な番犬とか。リオンはサイズ的にはチワワですけれども!いつかリオンと柊のガチバトルを書いてみたいものです。死人が出る。シルヴァはまだシルヴァ視点の話を書いていないのでアレなんですけれども、保護者というより庇護者の立場に萌えます。庇護する、ってなんとなくやわらかい感情な気がして好きなんですよね。あと堀内みたいな大型犬系もだいすきです。ヘタレ属性が掛け合わされるとなお美味しいです。

同種の質問が数件あったのですこし長めに語りますと、わたしはパターンとしては一見攻め→→→受けだけど実際は攻め→→→←←←←←受けだったりその逆パターンが好きです。自動的にくっつけよお前ら!とかくっついてんだろお前ら!って話をプラトニックでダラダラと書くのが好きですね。なので登場人物がたくさん必要な学園モノはめったに書きません。マニュアルでもう手一杯。ニアホモとリリカルホモが好きです。

こんな感じでもうとりあえずわたしの趣味に沿って運営されているサイトですので、好きーといっていただけるとすごく嬉しくなります。質問ありがとうございました!


11/10/14 Fri (07:32) ● マニュアル恋愛

マニュアル・雅臣へ


氷の生徒会長な悠里にはぐっときたりしないんですか?

「…何で俺まで呼ぶんだ」
「面白そうだったから?」

柊が憮然とした顔で雅臣を見ているけれど、雅臣に気にした様子はなかった。質問が書かれた紙を取り上げて、にやにやそれを眺めている。なんとなく気になったので呼ばれたとおりに来た自分も自分だ、と思いながら、柊はかれをつっついた。

「で、どうなんだよ?」
「ぐっとくるっつうか、可愛いなーとは思うよな。内心困ってんだろうなーとか思うと」
「前から思ってたけど、お前ちょういじめっ子気質だよな」
「好きな子は構い倒したいタイプなんですー」

氷の生徒会長の皮をかぶった悠里は、見慣れてくるとかすかに困っている様子なんかが見てとれて面白い。油断をしていると完全に俺様モードに入った悠里の色気にあてられてしまうのだけど、とすこし甘苦く柊は思った。

「あとあの目で睨まれるとやばい」
「ああ、それは確かに。椋にこないだ写真頼まれてたな」
「悠里って、けっこうノリいいよな」

雅臣はそんなことを言いながら表情をほころばせた。冷ややかな目の奥底にはたしかに本来の悠里の感情が透け見えて、人前で構っているときのその目のおくの困り切った色なんかは雅臣にとっては楽しくうれしい反応なわけだった。

「つまりあれだ、くるものはあるよね」
「あの状態の悠里といると周りの目が痛い」
「そういえば悠里×柊の小説がこの学校の中で出回ってるらしいな。お前の弟と似たようなやつはけっこういるみたいだ」
「うわあああああそういうこと言うのやめろ!やめろ!!」

いっきに椋のトラウマがフラッシュバックしたらしい柊がごろごろとソファのうえで転がっているのを見て、雅臣はひどく愉快そうに笑った。次に氷の生徒会長としての悠里にあったらもっと困らせてやろう、と雅臣が考えていることを、悠里は知る辺もなかったのだけれど。


11/10/14 Fri (07:20) ● きみをよぶ

きみをよぶよりー!


スグリとアカネのおしゃべり。
メインキャラの好物と得意料理

「そういえば、スグリ。家で、ごはん困ってない?」

いつもどおりアザミの家でアカネと遊んでいたら唐突にそんな話になった。年下の少女はまんまるい瞳でスグリを見上げ、まるで姉のように心配そうにしてくれるからむずがゆい。

「大丈夫だよ。シルヴァ、料理うまいんだ」
「…ほんとに?」

ものすごくいぶかしそうな目で見られたのも、まあ無理はないかもしれない。シルヴァはこのムラの若い男たちを束ねているようだし、いつも狩りにいっている。ということもあって、おそらく料理をするイメージがないのだろう。

「肉を焼いたり、炒めたり、煮たり?」
「全部肉料理じゃん…、スグリのムラはあんまり肉、食べないんでしょ?」

アカネは唇を尖らせてスグリの顔を覗き込む。じっとその青い瞳を見ていると、かれがそれを苦に思っていないことはたやすく読みとれた。

「うん、でも多分俺に気を使って野菜使ってくれたり、果物くれたりするし…」
「スグリは?ごはんつくるの?」
「たまにね。パンに野菜挟んだりとか、俺のムラの料理ばかりだから、シルヴァにはものたりないかも」
「美味しそう!たべたい!」

スグリの関心がシルヴァにばかり向いているのが面白くないらしいアカネがそうやっていってくれるのを、スグリはとてもかわいいと思う。なんとなく、末の妹にかかりきりだったころにスグリのすぐ下の妹がいつもより甘えたになっていたのを思い出していた。たぶんアカネに言ったら怒られるので、黙っておく。

「じゃあ今度、食べにおいで。シルヴァも野菜で肉を包んだ料理は気に入ってくれたみたいだから」
「うん!」

とたん嬉しそうに笑ったアカネの頭をなでて、スグリは料理を作る算段をした。明日の朝に早起きをして用意をすれば、シルヴァが狩りに行く前までには間に合いそうだ。かれがやさしく笑ってくれるのを思い出すと、スグリのこころも弾んでいた。


11/10/11 Tue (22:09) ● きみをよぶ


スグリへ



一緒にいて気付いたシルヴァの癖や好物など


「好きなものは、肉料理だよね。あとしょっぱいもの好きだ」

シルヴァの作ってくれる料理は、そばで見ていてもわかるのだけれど豪快な味付けだ。穀類に慣れたスグリには最初こそ口慣れなかったけれど、味は初めて食べた時から美味しかった。食べられる?というふうに気遣ってくれたシルヴァに皿を空にしてみせたら嬉しそうにしてくれたのをよく覚えている。

「癖…、癖かあ」

シルヴァが弓の弦を張り直しているのを眺めながら、スグリはかれのことを考えた。いつも見ているはずなのに急に言われるとなかなか思いつかないものである。いっしょに暮らすようになってしばらく経ったけれど、スグリはシルヴァに甘えてばかりだ。食事もそうだし、身の回りのこともほとんどシルヴァがやってしまう。

「…スグリ?」
「あ、シルヴァ」

視線に気づいたシルヴァが弓を置いて寄ってきた。隣に座って、スグリの手の甲を撫でる。こういった些細なふれあいがとても好きだった。スグリよりすこし体温の高い手は、いつも優しく触れてくる。

するりとスグリの手を解放したシルヴァをなんともなしに目で追うと、かれの手がぽんぽんとスグリの頭をなだめるように撫でた。なんとなくシルヴァの隣に座るとしょっちゅう撫でられるような気がするから、もしかしたらそれが癖なのかもしれない。思い至って恥ずかしくなって、スグリは肩を窄めてちいさくなった。

「スグリ?」
「な、なんでもない…」

もちろんそんな照れ隠しも通じるわけがなくて、スグリの言葉を聞き取ろうとしてシルヴァが顔を近づけるからたまらず隣から逃げだした。多分顔が赤いのが分かったのだろう、シルヴァも笑っている。いっしょに暮らしていても、まだまだかれとの触れ合いには慣れそうになかった。


  


ToP



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