Q&A
 

11/10/11 Tue (22:08) ● きみをよぶ



シルヴァへ


質問のお言葉に非常に滾りました…!!
理性の限界を感じたことはありますか?

「シルヴァ」

どうやら質問の内容がわからないらしいスグリが、ついついとシルヴァの腕を引く。文字の羅列をなぞってシルヴァを見上げ首をかしげて解答を待っていた。言葉はすこしずつ身についているようだけれど、やはりまだ文字となると難しいらしい。けれどスグリにこの中身をいうのも憚られたから、シルヴァはスグリの髪をぐしゃぐしゃ掻き混ぜて誤魔化す。

出会った頃に比べればすこしは健康的な身体になったけれど、スグリは相変わらず薄くて軽かった。寒くなってきたから着込ませてある服の上からでもその身体の線は頼りない。民族が違うから骨格が違うのも当然なのだろうけれどこの村の子供と大差のない体格をしたスグリは、シルヴァにとってひどくあえかな存在だった。

「…」

くすぐったそうに肩を竦めたスグリの首筋は、シルヴァがすこし力を込めれば手折ってしまえそうなくらいに細い。スグリは身体が弱いせいで寝込みがちだったようだからなおさらだ。

「シルヴァ?」

なんでもない、と軽く首を振って、シルヴァはスグリの背中をてのひらで撫でる。ほんの少しでも無体を働けば、きっとスグリは容易く壊れてしまうだろうとシルヴァは思っていた。だからこそ真綿にくるむようにして大事に大事にしておきたい、そんなふうに思っている。

背も見上げるほど高くて時折獣の血に塗れて帰ってくるようなシルヴァに、慣れ親しんだ土地からかれを強引に連れ攫ってきたシルヴァに、それでもスグリはこれだけの信頼を向けてくれるのだ。ならシルヴァもそれに応えて、スグリの前では優しく真摯でありたいと思う。

…溜まるフラストレーションを解放するための凶暴な猪やなんかは、ムラから出ればすぐに見つかるわけで。スグリがこれを聞いたらどう思うだろう、なんて思いながら、シルヴァはスグリの髪に指先で触れた。


11/10/09 Sun (11:04) ● マニュアル恋愛


リオンへ


悠里を好きになったきっかけはなんですか?


「悠里さまを初めてお見かけしたのは、入学式の時でした。そのときに、あんな場所に立っているのにつまらなさそうだなと思った覚えがあります。この学園には各界へのコネを手に入れようと入ってくる子息なんかばかりなのに、そういう野心のようなぎらついた醜いものが少しも見えませんでした。それが気になって、入学式からしばらくあの方のことを観察していたんだけれど、その間も少しだって悠里さまは他人に興味を示したりはしませんでした。そんな悠里さまだったら僕を傍に置いてくれるかもしれない、なにもなしに一緒にいてくれるかも、と思ったのが、今思うとはじまりだったのかもしれません。気付いたら悠里さまのことばかり目で追うようになっていました。そうしたら、いつものあの、氷と呼ばれるような表情ばかりでないと気付くようになって、悠里さまは何事にも真面目に取り組んでいるんだ、ということも分かって、ますます僕は悠里さまのことをお慕いするようになったのです。お友達だなんてそんな大それたものじゃなくていい、悠里さまをお守り出来たらいい、そう思って、僕はなにも考えなしに、悠里さまに親衛隊を作りたいのです、と言いました。そうしたら悠里さまはすこし驚いた顔をされたのですが、僕を拒むことなしに、けれど何か―――、僕がいつも向けられている鬱陶しい類の感情を向けるわけでもなしに、いいえ、悠里さまが僕をそんなふうに思ってくださるのだったら、悠里さまだったら僕はとても嬉しく感じるんでしょうけれど、それで、お前がそうしたいなら、と僕に居場所を許してくださったのです。そのときに僕の喜びといったら、初めてノンノに銃を持たせてもらった時よりもずっと嬉しくって…」


「おーい、誰かそろそろ止めに入れー」


11/10/09 Sun (10:29) ● マニュアル恋愛

カスタム戦争より、不良グループのトップ3へ

カスミさんより頂きました。
応援のお言葉ありがとう!うれしかったです。
「氷の生徒会長」は噂のままでしたか?


「…だってよ」
「何でニヤニヤしてるの、トラ。気持ち悪い」

笑いを浮かべた虎次郎に、しづかが胡散臭そうな目を向けた。黙ってキーを叩き続けている宵をちらりと見て、何故か呼び出された柊が肩をすくめている。虎次郎は間違いなく悠里の素を垣間見ているけれど、どうやらそれをかれらに話していないようだった。

「写真で見たときは、これでもか!って感じだったですけど。けっきょく僕は戦いませんでしたしね」
「どれだけ調べても喧嘩のデータが手に入らなかった。未知数だな」

そりゃそうだろうよ、と思いながら、柊はちらりと虎次郎をみる。目があった。にやにやと笑っているさまがなんとなく腹立たしかったので、手元にあった分厚いファイルを投げつけておく。

「会ってみたら、けっこう違ったけどなァ」

どんなふうに?としづかが興味深そうに尋ねてくる。すこしはらはらして、柊は虎次郎のほうを見た。けれどかれはファイルを難なくキャッチして、それは愉快そうに笑っているだけで。

「キャンキャンうるせえ番犬がついてた」
「…北川リオンか。戦闘力は相当なものだ、堅気ではないな」
「へえ。番犬になりそうなタイプには見えないけれどね」
「よく躾けられてたぜ」

悠里の話題を放っておいて宵がパソコンに表示したらしいリオンのデータに夢中になっている三人組を見て、柊はかるくため息をついた。以前何度も見せつけられた悠里の「氷の生徒会長」のことを考えると、リオンがああまで惚れこむのも無理はないかもしれない。

「悠里は、ああ見えてあんまりボロ出さねえからな…」

虎次郎はともかく、しづかも宵も「氷の生徒会長」の本性には、すこしも気付かなかったらしかった。

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ToP



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