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落ちてくスピカ完結あとがきとレスポンス
2021/07/17


こんにちわ。今日もものすごく暑い。
新巻、スピカをあげきってたから読みたかったのでまだ未読です。わくわく。楽しみにしつつ心を整えています。一番最後にコメントへのレスいたします。返信不要やサイト外からのご連絡も含めたくさんの優しいコメント、ありがとうございました。天使たちに元気を分けてもらった心地です。お返事不要の方、うれしい感想や小林の体調を気遣ってくださる方も多く、お言葉にあまえてお返事いたしませんが、優しい心遣いに感謝です。いろいろと暗礁に乗り上げまくっていたのでぱちぱちも含め、本当に救われました。


二か月弱かけて進めていた「スピカ」が完結いたしました。お付き合いいただき、ありがとうございました!!
ものすごく寂しいですが、ものすごくやり切った感もあります。まずはじめに、マイキーはもちろん、千冬くんの愛への想いや解釈など、すべて書き手の願いであり捏造です。どうぞご容赦ください!

この話は2つの軸から成り立っています。
そして冒頭にも書いたように、全編愛についてのお話です。愛、持ってるとお守りみたいだけど、なかなかうまくいかないこともある。悩むことが多くて、それなのになかなか諦められなくて、拙くてもうだめだめだな、という部分もたっぷりあるものだと思っていて、今回のお話はそんな、愛の理不尽な面をフューチャーしたお話です。ひとを好きになるのってすごい難しい。理不尽、エゴイスティックで、暴力的なリビドーです。自分でもなんでこんなに好きなのかわけわからんな…と逡巡しながら、苦痛に感じながら、進めていくことが多いものだと思います。わけがわかんないけど、人生とかコンプレックスとか理想とか庇護欲とか信条とか、めんどうなものが色々とごちゃまぜになったものが愛で、それに比べたら恋ってかなりシンプルで美しいよなあと思います。個人的に。

マイキーはどちらかというと、愛の優先度が低い気がする。鈍感なだけなのかもしれないけど、仲間や約束や家族は大切にするのに、自分や個別の他者へのエゴが薄い。内側への矢印が圧倒的に弱くて、めちゃくちゃ男性っぽいなと思います。(そういうところがすごく好きです)
そんなマイキーに向けた話だからこそ、愛というのがメインテーマになりました。愛について反対側から書くのにこれほどの適任はいないんです、マイキーの愛は絶対に優しくないから、でも、ぜんぜん優しくなくていいから、わがままに、真っすぐ前だけみていてくれ。という強い気持ち。メッセージ。
しかし、ヒロインもマイキーも愛についてなんにもわかってないので、そのままではお話になりません。そこでもうひとつの軸として、ずっと書きたかった千冬くんにめちゃくちゃ登場してもらいました。このお話の裏主人公は、ヒロインではなくて千冬くんです。
場地さんがこの世を去ってから、千冬くんは頭がぶっ壊れるくらい場地さんのこと、彼の理想のこと、優しさや愛のことを考えたと思います。原作ではあまり描かれていないその過程がわたしには美しすぎて、眩しすぎて、どうしても片鱗を書きたいと思っていました。彼のたどり着いたかもしれない正解が、うっすらとでも、このお話を通じて想像していれば幸いです。千冬くんへの熱いラブが実はものすごく根底に流れている。

個人的に、場地くん、千冬くん、一虎くんの関係性がとても好きです。
スピカも、最終話のイメージがなかったら書けてなかった。人生や生命や愛に対してポジティブにとらえることができるこの話がなければただの悲恋で終わってしまうので。
場地くんと千冬くんの受け入れる力、許す力は本当に恐れ入ります。やさしすぎる。ちょっと損してしまいそうなくらいのふところの深さと共感力がすごく好きで、スピカでもかなり大きめに入れ込んでいます。
ドラケンは正義のひとだから、いつも平等に物事を裁いているし、マイキーはいいものも悪いものも全部自分のものにしてなんとかしようとするからバランスなんかとる気ないと思う。三ツ谷くんはある意味めちゃくちゃ感覚のいいバランサーだけど、いつも俯瞰して、客観的にみんなを把握して解決しようとしているところがあるから心の話はしないだろうなあと。一方場地くんはいつでも主観からみんなのことを考えてたから、立場や関係が変わってしまっても、心の調和だけは保とうとしてた。そのせいで自分がボロボロになろうと、ついに命まで尽きてしまおうと、かまわない。それが彼なりのエゴで、理想のためのワガママ。やっぱりどうしても優しいんですよね。どうしようもなく愛のひとです。みんなが正しく、あの時と同じ朗らかな心のままであるようにと願っている。心の底から願っている。愛をもって。…ドラケンはマイキーの心だというの、本当に首が取れるほど納得だし、良すぎるんですが、ばじくんはマイキーの情操だったんじゃないかな、とわたしは勝手に思ってます。感情担当。エゴイスティックな愛担当。千冬くんもそんな場地さんのことが大好きなのだと思うし、彼はほんとーーーにおだやかで人の気持ちのわかる、優しい男の子ですよね。
スピカでも、ヒロインにほんとに恋愛感情を持っていたのかわたし自身よくわかりません。違うんじゃないかなって思う。千冬くんは優しくて共感する力がすごいから、恋愛に似た慈愛や同情は強く持っていたのだと思いますが、実はそれだけ。正義感や理想への気持ち、ヒロインの持つ愛へのある意味でのリスペクトを恋愛と同じくらい強く持ってたんじゃないかな、でもそれを恋愛って呼ぶのは間違ったことじゃないしな、とも思っているので難しい。それは最終話と千冬くんの独白でなんとなーーく匂わせたのですが、匂わせられてるかな…と不安です。


このお話の中で希望や生きるための光をスピカと言い換えるとすると
千冬くんにとってのスピカは、到底ヒロイン自身じゃなくて、自分の好きな人達と、彼らが象徴する愛の理想、
ヒロインのスピカは、いつだってマイキー、
マイキーのスピカはもしかしたらヒロインなのかもしれないし、昔の自分たち全部なのかもしれない。
生きていく中で変わるものが沢山あって、でも変わらないものもずっとあって、そのなかで大人たちがもだもだして、苦しんで、正解を見つけようとしている話です。見つかったかどうかはわかりませんが、現在進行形で小林も、正解だけを探す旅を続けているので、こんな結末になりました。まだゴールにはたどり着けません。

さて、最後に。
今回のお話、ひいてはトーマンの連載をはじめるきっかけというのが、はるか昔から通ってくれてた方の「小林の描くトーマンが見たい」という愛のこもったメールのおかげだったので、 あらためてうれしいことだったなあ。と思っています。
今後は、万次郎の「世界を敵にまわしても」を進めつつ、空却くんの長編を完結に向かわせ、ためてたいろんな短編ものんびり上げていきます。ここからはまたのんびりできたらいいですが、どうでしょう。どうなるかな。


スピカを、そしてこのあとがきを読んでくださった皆さん、そして昔から見てくださってる皆さん。どうか元気で。今後も、難しいことも多いかとは思いますが、なるべく愛や実りや幸せの多い人生を歩むことができますように。願っております。



このサイトのもうひとつのBGMはTHE NOVEMBERSの「今日も生きたね」。久しぶりに聞いたらものすごくよくて一気に十代のころの感傷と今の憂鬱が重なり合ってぐるぐる回って困ってしまった。

ひといきついて23巻、読んできます。

未だにもやもやした濃霧のような
ふしぎなスランプの中にいる

小林より


レスポンス


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