「ルーちゃんはクリスマスどうするの?」
「え?」
「ロキと、どっか行く?」

ギルドからの帰り道、本が欲しいと言うレビィに付き添い大きな本屋に来ていた夕方のこと。雑誌を立ち読みしていると横からレビィがそんなことを言ってきたのはルーシィが見ていたページがクリスマス特集だったからだろう。クリスマスに向けて気合い満々なのがばれてしまったのが恥ずかしくなり、べべ別に何もないわよあんな奴///と雑誌を慌ててとじて戻そうとするが、レビィはにやにやしながらでもそれ買うんでしょ?とルーシィが大事そうに抱えている雑誌を指差した。

「……買う///」
「ふふ、可愛いルーちゃん。」
「で、でもこれは別にクリスマス特集だからじゃなくて服が可愛いからでっロキなんか関係ないのでありましてね///」
「あー、うんうん、そうゆうことにしとくからほら、買っておいでよ。」

駄目だ、完全にばれている。ルーシィは真っ赤な顔でレジに行き、恥ずかしそうに雑誌を買った。レビィのところに戻ると彼女も同じ雑誌を読んでいて、ルーシィが戻ってきたことに気が付くと手招きをしてページを見ながらこれとか良くない?とはしゃぎだす。

「わあ、イルミネーションきれーい。」
「こんなロマンチックなとこだったら自然と手とか繋いだりしちゃったり、ルーシィ好きだ、なんて言われたりしちゃったりああ燃える展開だわ〜!」
「そ、そんなこと言うかな。」
「言うでしょ!!相手はロキなんだし、こう言っちゃなんだけど、女の子喜ばすのは上手よきっと!」
「え〜…そうかな、でもお…」
「あ、そうか。告白は毎日されてるんだもんね、ん?じゃあなんで付き合ってないの?」

それは…とごにょごにょ濁して目を泳がせるルーシィにレビィは溜息をつく。わかりきった答えを聞いてしまったからだ。このツンデレ娘は毎日のように告白をされていても素直になれず適当にあしらったり気のない素振りをしたりしているから二人の関係が前進しない。あのロキがそれでよく我慢しているな本気なんだなと、レビィは苦笑いを浮かべた。

「多分ロキはクリスマスもルーちゃんに好きだって言ってくると思うんだけど、つまりはさ、ルーちゃんが首を縦にふれば問題なくうまくいくわけでしょ?」
「まあ、そう、そうね。」
「でもルーちゃんはなかなか素直になれないわけだよね。」
「……。」
「じゃあやっぱり、こうゆう、ムードたっぷりな場所に行って、クリスマスプレゼント渡した時に勝負だよルーちゃん!!!」
「プ、プレゼント?」
「そ、だってクリスマスじゃない??尻尾ふって喜ぶよロキ。」

尻尾って、一応人型なんだけど…まあ犬よね奴は、と同意する。クリスマスといえばプレゼント交換はカップルでは暗黙の了解。だが自分とロキは付き合っているわけではないし、プレゼントなんかあげたらあからさますぎやしないだろうか。もっとも彼の方からは毎日飽きる程好きだのなんだの言われているから今更気にすることもないがルーシィは首をひねって唸る。

「でもそれじゃああたしがロキのこと好きみたい。」
「え、だって好きなんでしょ?」
「う………そ、おだけど…」
「じゃあいいじゃん、何かあげないと、ずーっとこのままだよ?そうやってもたもたしてる間にアリエスにとられちゃうかも…」
「そ、それは嫌!!」

顔を青くして泣きそうになるルーシィににやにやするレビィ。確かにロキはアリエスと仲が良いしアリエスはきっとロキが好きだ。それはなんとなくわかる。ロキも多分万更じゃない。もちろん友人としてではあるが、それもわかる。万更じゃないがあの二人が何もないのも一重にロキがルーシィにぞっこん故だろう。だがルーシィとしては初恋なのでどうしたらいいか分からないところもあったしロキに素直に告白なんて、恥ずかしすぎて踏み出せなかった。


ガジルのところに行くというレビィとわかれ家に帰るといい匂いが鼻を擽り、誰が来ているのか不審に思ってそおっと家に入るとキッチンでオレンジ色の髪をした青年が一人、楽しそうに料理をしていたのでルーシィはただいま、と嬉しそうに声をかけた。

「ロキ。」
「あ、ルーシィ、おかえりー。」
「ただいま。…じゃなくて!」
「お風呂にする?ご飯にする?それともぼ「ご飯。」

最後までいいおわるのを待たずに即答し、寝室に着替えをとりにいくルーシィに相変わらずつれないなあ、と苦笑いしつつも楽しそうに料理を皿に盛り付けている犬、いや大型の猫に思わず笑ってしまった。大体にして料理を作って待っているなど、あんたは乙女かといいたくなる。着替えをしながら先程買った雑誌の袋をちらっと見やり緊張しながら咳払いをすると意を決したように「ロキ。」と、大型犬もとい青年の後ろに立つと、へにょん、とした笑顔でこちらへ振り向いてきた。

「どうしたのルーシィ、今パエリヤ盛り付けてるからちょっと待ってて。」
「わー、パエリヤ!あたし大好き!」
「だろ?」
「パエリヤ作れるなんてロキってばすごーい…じゃなくて、あのね、ロキ、あたしね、あたし。」
「ん?」

心臓がばくばくと脈をうつ。珍しくサングラスをかけていないロキの瞳がよく見えて、ルーシィは自分の顔に熱が集まってきたのがわかった。どうしたの?と優しく問いかけてくるロキとルーシィの間にはなんとも初々しい空気が流れている。やっぱり自分から言うなんてむいてないと思いつつも、ライバルに先を越されたら一環の終わりとのレビィの話を思い出してルーシィは控えめな声でもじもじしながら口を開いた。

「…ロキ、あのね、24日のイヴ、なんだけど………い、一緒にイルミネーション見に行かない?」
「…え…」
「あ、えと、うん、つまりロキと、行きたいの!せ、せっかくだし、なんてゆうか、うん、そお。ロキとがいいの。」
「……」
「だか、ら………ロキ?」
「……」
「ロキ?」
「…………。」
「あのー、聞いてる?」
「…………………。」
「もしもーし?」

何も反応がなくこちらを見ながら固まってしまったロキの頬をつんつんとつつくと、ルーシィの細い手を払い、聞いてるよ、とロキはぶっきらぼうに外方を向いた。「ルーシィ本当に?!やっと僕の気持ちに応えてくれるんだね!」などの反応を予想していたルーシィとしては彼のあまりに素っ気ない態度に頬を膨らませ、ちょっとロキ?!と顔を覗き込んだ。

「ロキ…?」
「……ごめん、僕なんか…今顔真っ赤だよね…///」

真っ赤になったロキの顔に拍子抜けしたルーシィがえーと、と反応に困っているとますます顔を赤くして、ロキはフライパンを置いてじゃあ今日はそうゆうことで、とそそくさと星霊界に帰ろうとしているのでむっとしたルーシィはロキの腕を掴み待ってよ、と少し大きな声で叫ぶ。依然として瞳を合わせないだるまのように真っ赤になりながら今日はもういっぱいいっぱいだからちょっとルーシィの顔見れそうにないかもなどとゴニョゴニョ口籠もるロキがなんだか可愛くて、ルーシィはくすくす笑いだす。

「な、なんで笑うの。」
「だって…ふふ、いっつもあんなに好きだとか言ってくるのに。」
「それとこれとは別だよ、まさかルーシィから誘ってもらえるなんて、その、思ってなかったし…」
「………だって…クリスマスは好きな人といたいし。」
「え…?」

顔を上げて目を丸くするロキと目があいルーシィはしまった、と慌てて口を塞ぐがもう遅い。気が付けば、ルーシィ!と嬉しそうに笑うロキの暖かい腕に抱き締められていたのだから。



女の子思考


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