いつから、だったなんてわからない。気が付けばいつの間にか好きだった。そりゃあ、口は悪いし愛想ないし。でもね、ホントは優しいってこと、知ってる。だから好きになったの。



「何してんだお前。」
「あ、ガジル。」

木の下でかがみこみじっと何かを見つめている空のような髪色の少女が後ろに振り向き顔を上げた。あまりにも奇怪な様子にさすがに見てみぬふりをできなかったガジルは近寄って同じようにかがんでみた。

「なんもねえじゃねーか。」
「あるよほら、蟻の巣。」

レビィが指差す木の幹の辺りには確かに蟻の巣があった。まさかこれを一生懸命見てたのかとガジルは訝しげにレビィの横顔を見つめる。

「蟻ってすごいよね。こんなに小さいのにすごい力あるんだもん。」
「……お前、変なやつだな。」
「え?何で?」
「何でって、普通こんなもんじっと見るやつなんかいねーだろうが。」
「えー?そうかな。」

あはは、と笑うレビィにガジルは溜息をつく。やっぱり妖精の尻尾のメンバーだ、と内心で呆れていると、ふと視線に気が付き「なんだよ。」と返した。

「…あの、ね。ありがとう。」
「あ?」
「その…ま、守ってくれて。」

レビィの言葉にガジルはなんのことかわからず首をかしげた。すると少しむくれたように頬を膨らませレビィはもぉーと怒りだす。

「忘れちゃった?ラクサスの…!」
「………あー。」

そういえばそんなこともあった、とガジルはようやく思い出す。

「ありがとう、あの時。ずっと…お礼言わなきゃって思ってたの。でもなかなか言うタイミング掴めなくて…」

ガジルが自分に負い目を感じていることはなんとなく気付いている。だが、それが理由で守ってくれたというのはレビィは少し寂しかった。

「あの、ね、別にあたしに負い目なんか感じなくていいからね。」
「…レビィ。」
「あの時あたしがガジルに負けたのはあたし達が弱かったからだし…しょうがな「別にお前を守ったのは負い目を感じてるからじゃねえよ。」

ガジルがむすっとしてレビィが最後までいう前にかぶせる。きょとんとしてガジルの横顔を見つめると、頭をがしがしかきながら本日二度目の溜息が聞こえた。

「好きな女を守っただけだ。」
「…………………え?」
「頭わりーのか、お前が好きだって言ってんだ。」
「………!!!!?」

あまりにも唐突な告白に、レビィは立ち上がり後ずさる。今自分の顔は真っ赤だろう。まさか、ガジルが自分のことを…口をぱくぱくとさせながら黙っていると、「なんか言えよ。」と、ガジルが呟いた。

「あ、う、いや、だ、だって…」
「あ?」
「ガ、ガジルはルーちゃんのこと好きなんだと…///」
「バニーにはあの変態がいるだろ。」
「い、いやあの、そうだけどガジルは相手がいても関係ねえ奪ってやる的な、つまり猛者とゆうか、うん、猛者だと思ってたし……///」
「てめ…人をなんだと…」
「うわあ、怒らないで!!つまりあれだよ、うん!!ガジル君の好きな人はあたしだったというわけだね!!」

あははは、と最後に笑うが自分で口にしてますます真っ赤になるレビィ。今にも脳内爆発してしまいそうでこの場から逃げだしたかったがガジルに腕を掴まれ、お前はどうなんだよ、などと詰め寄られてしまい逃げることも出来なくなってしまう。いやつまりその…と濁していると、ガジルは苛々してきたようで舌打ちをした。

「まあ別に、俺はお前が誰を好きだろーと関係ねえけどな。」
「やっぱ猛者じゃん!!」
「う、うるせー!///」

あ、意外、顔赤い。てゆうか、ガジル今日はよく喋るなあ。

僅かに頬の染まったガジルを見て、少しだけ安堵する。ガジルも人の子なんだ、と若干失礼なことを考えてみたものの、あたしも好き、とは動揺しすぎで出てこない。

「まあ……そうゆうわけだから。」
「ガジル…///」
「…悪かったな、困らせてよ。」

そう呟いて歩いて行ってしまったガジルに、レビィは慌てる。今のタイミングを逃せばなかなかもうチャンスはないかも、なんて思いながら走ってガジルの背中に抱きついた。うおっ、とガジルの驚いた声が聞こえるがそんなの別にどうでもいい。

「…あたしも好き、ガジル、あんたのこと好き!」
「お、おい…//」
「好きっ……!!」

ひたすら好きと連呼するレビィはあまりにも可愛く、ガジルは腰に回っている手を解き自分の腕の中にレビィをおさめた。

「……ばかが。」
「ばかはそっちじゃんっ…///」

むくれるレビィに軽くキスをすると、ガジルは笑う。普段にやっとかギヒッとか笑うところは見ていても普通に笑うところなんか一度も見たことがなかったのだから、きっとこれから先この笑顔は自分だけの特権なんだろうな、と満面の笑みでガジルに微笑んだ。

「何笑ってんだよ。」
「えへへー、べっつにー?」





微笑みは暖かく


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