XXX 2


「どした?」
 覗き込むと、なぜか未央は上のスウェットを脱いでいた。
「勝手に入ってくんな!」
 脱いだスウェットを顔面に投げられる。
「いや、なんか虫でも出たかと思って」
「あ、虫……? これ虫刺されかな?」
「……何が?」
「これ!」
 未央が自分の胸の少し上を指す。ああ、キスマークか。
「キスマークじゃない?」
 たぶん未央も、分かっていたのだろう、すぐさま罵倒が飛んできた。
「こんなにつけなくてもいいじゃない! 変態!」
「へん……」
 変態……じゃあハルちゃんに噛み痕まで残している野村はどうなるんだ。ド変態じゃないか。投げ飛ばしたスウェットに再び首を通しながら、未央はぶつぶつ言う。
「これいつになったら消えるのよ……」
「二、三日? 分からん。消えたらまたつけるか」
「変態! もう渉くんとはエッチしない!」
「なっ……」
 それは困る。非常に困る。
「もうつけないから、それだけは勘弁してください」
「……少しだけなら、いいけど……」
「うん」
 真っ赤な顔でへたり込んでいる未央に視線を合わせてしゃがみ込んでへらりと笑う。背中にもいっぱいつけたけど、たぶん気づかないだろうから黙っとくことにした。


 END

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