捻じ曲が理論 8


 ◆W

 時計の短針が、二を指した。ほぼ無意識と言うか本能と言うか、ゴクリと音を立て唾を飲む。
 ……これは……まずいだろう……。
 目の前には、唇を薄く開きしどけなく体をシーツに投げ出した未央ちゃん。
 たぶん、俺がもうちょい屈むか未央ちゃんが身動ぎすれば、彼女には少し大きいTシャツの襟から胸が見える。
 だ、だめだ俺……誘惑に耐えるんだ俺……!
 未央ちゃんは純粋に懐かしくて、俺と寝てるんだ。俺は兄貴分なんだから、疚しい気持ちなんか持つわけがない。そう、兄貴分だから。
 しかし、握られた左手が、熱い。
 見ちゃいかんと分かっていても、ついつい目が行く男のサガ。肌は白くて瑞々しくて適度に柔らかそうで……細いくせに控え目ではない胸。
 うーわー………………だから見るなって!
 なむさん!
 可愛い可愛い妹分が知らない間に女へと変貌を遂げ、俺は嬉しいやら寂しいやらむらむらやら大変です!



 END

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