捻じ曲が理論 3


 もやもやと考えるうちにシチューは消化され、なんだか腹が立ってきた私は、渉くんの寝室を掃除することにした。
 もしエロ本とかゴムとかその他何かお子様には見せられないものがあったら、容赦なくまとめて明日の朝一ゴミに出してやる。
「……麗しの玲央奈様だって今日こそ捨ててやる……」
 グラビアアイドル玲央奈のことである。
 気の強そうな美人顔の彼女は、渉くんのお気に入りだ。彼女が出ている雑誌は必ず買ってきて、大事にクロゼットに保管されている。
 いつも捨てようと思うのだが、渉くんのプライドも何もない土下座せんばかりの縋りように、なんとなく先送りになっていたのだ。今日は何があっても絶対捨ててやる。
「私のシチューを差し置いて合コンなんか行ったこと、後悔するがいいわ」
 クロゼットを開けると、相変わらず服がごちゃりと、洗濯して取り込んだままの状態で突っ込まれている。
 私服はともかく、シャツはシワになるっていつも言っているのに。
 ……さて。アイロンをかけるのはあとにして、麗しの玲央奈様はどこかな……と。
「あ、あったあった…………え……?」

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