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「ついてる」
「む」

 唇の端っこにへばりついた米粒を取り、自分の口に運ぶ。それから、ミキは自分の食事を開始した。青子は食べるのが遅いので、青子が食べはじめてから少ししてから食べはじめるのがちょうどよいのだ。
 そして結局、遅く食べはじめたにもかかわらず、ミキはすでに食べ終わり、青子が一生懸命口に詰め込んでいるのを眺めていた。ほんと幸せそうに食うよなあ、などと思いつつ、ミキはなんだか微笑ましい気持ちになる。

「ごちそーさま!」

 ようやく食べ終えた青子は、おなかをつるりと撫でた。ミキは、二人分の食器をキッチンまで運び、洗いはじめる。と、青子が後ろからやってきた。

「手伝うー?」
「別にいい」
「そう?」
「テレビでも見てれば」
「私テレビあんまり見ないんだあ」

 青子の退屈そうな声を背中で聞きつつ、ミキは食器を拭く。

「終わったあ?」
「今終わる」
「ミキちゃん遊んでー」
「待て」

 手を拭いて青子が寝そべっているソファまで歩いていくと、ミキは衝撃的なものを見てしまった。

「おまっ……」
「ん?」

 二人がけのソファに寝転ぶ青子のパンツが丸見えなのである。青子は、それに気がついてるのかいないのか、まったく気にするそぶりを見せない。ミキは、自分の理性が崩壊していくのを必死で抑えていた。ここで発情したら俺の負け、手を出したら俺の負け。頭では分かっていて、そう言い聞かせるのだが、青子の腕に手が伸びるのを、残念ながら神経は止めることができなかった。

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