「最近雅美さんとどうなの」
「あー、別れた」
「なんで」
「知るか」
ミキは、昨晩どうも寝付けずに徹夜していたため、大変機嫌が悪かった。そして、喫煙を早々に切り上げて保健室へと向かった。
午後の授業は、さぼろう。そう思いながら、保健室のドアを開けたが、保健医がいない。これはついてる、と思いつつベッドのほうへ向かうと、すさまじい勢いでドアが開いた。
「先生怪我した!」
「……」
「あれ、いない」
そこには、膝からだくだくと血を流す女が息を切らして立っていた。無意識で上履きの色を見る。赤ということは一年生か。いや、今は自分も一年生か。
「勝手にやっちゃうもんね」
ミキの存在などまるで無視で、その女は水道で血を洗い流しはじめた。
「いったたた……」
ミキは、ベッドのカーテンに手をかけたまま固まっていた。なんだこのちんちくりんは。
実際のところ、別に彼女が特別背が低いわけではなく、ミキが高すぎるだけだったのだが、とにかくミキにはちんちくりんに見えたのだ。
さらに、水道のシンクに片足を乗っけているおかげで、パンツも丸見えである。ミキは思わず嘆息する。女としてどうなんだよ、これって、などと思いながら、いそいそとカーテンをしゃっと開けてベッドに寝転んだ。
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