「駄目だよ」
「……あ?」
「ここでこうしてるのは、ミキちゃんじゃないと、いやだよ」
「……」
「ひでぽんとはちゅーしたくないもん」
「……」
「くっつきたいのはミキちゃんだけだよ」
「……」
そう言うと、青子は裸のままぴとっとミキの背中に抱きついた。そして、いひひ、と笑う。
「ミキちゃんとこうしてると、安心するの」
「……」
「ミキちゃんは、安心しないの?」
「……」
ミキは、そこで初めて振り返って青子と目を合わせた。にっこり笑う青子のその笑顔に、自分はなんて小さなことで悩んでいたのだろう、と思わされた。
青子はいつでも、その小さな体から「愛してる」を発し続けてくれていたのに。なんてくだらないことを悩んでいたのだろう。
「ミキちゃんは、私とくっつきたくないの?」
「……」
青子が不満げに唇を尖らせているのを見て、ミキは少し笑った。何、と首をひねる青子に触れるだけのキスをして、ミキは青子を抱きしめた。それから、ふう、と息を吐いて、腕の力を強くした。
「……」
「え?」
「……なんでもない」
ミキは穏やかに笑って、今度はもう少し優しく愛してやろうと青子を再び組み伏せた。
END.
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