指の隙間から零れたの
01

 一般人、つまり比奈との熱愛が発覚したというか自分でカミングアウトした先輩は、連日ワイドショーの食い物となった。
 イタリア帰りのミステリアスなクールビューティな先輩は、さまざまな媒体でネタにされていた。拓人さんが持ってきた週刊誌も、先輩の大きな写真と一緒に、『玲央奈フラれた!? 柳尚人に新恋人発覚!』という見出しがついていた。

「……何か余計なことを考えていないか?」
「えっ? いや……」
「何も考えられないようにしてやる」
「あっ、ちがっ」

 拓人さんのセックスは乱暴だ。髪を掴む癖があると分かってからは、ずっとショートヘアにしているが、それでも掴んでくる。歯形が残るくらいに噛み付かれては、腰を動かせと尻を叩いてくる。
 あたしは自分が主導権を握るのが好きだった。そう、だったはず、なのに……。
 拓人さんの乱暴なセックスに身体は勝手に慣れてきてしまって、今じゃ他の男の子としたときに物足りなく感じるくらいになってしまった。それもこれも全部この鬼畜男のせい……!

「何考えてるんだ? ン?」
「ああっ……痛いっ」
「痛くしたんだ、当たり前だろう」

 にやりと笑って、拓人さんがぐっと腰を押しつける。くそっ、このふざけた顔比奈に見せてやりたい。
 あたしが終わっても、拓人さんは容赦なく続ける。この、鬼畜野郎……!
 柔らかに優しく丁寧に愛されているだろう比奈が、ちょっとうらやましいけど。
 それでもやっぱりあたしは、この人が好きだ。

「あー。出すぞ」
「ちょっ、中は駄目……!」
「考え事していた罰だ」
「んんっ」

 最低だ。中出しされた。安全日と言っても確実じゃないのに、最低だ、この野郎。