信じるなんて馬鹿だよ
07

 ぎゅっと抱きしめると、ふんわりと甘い匂いがした。比奈が作って持ってきてくれた、チョコレートケーキの匂いだ。
 突然意味もなく抱きしめたせいか、比奈がわたわたとほんの少し抵抗の意を示したが、それもすぐにおとなしくなった。

「先輩?」
「……黙って」

 不思議そうに見つめてくる大きな瞳を手で隠して、小さく尖った唇にキスをして舌を差し込む。びくりと肩が浮いて、比奈の手がぎゅっと俺の服を握った。それからおずおずと舌を絡め返してきて、俺は目を覆っていた手を比奈の後頭部に回してさらに深くくちづけるよう角度を変えて再度唇を重ねた。
 たっぷりキスをして唇を離すと、上気した頬で肩で息をし、とろんとした目を俺に向けてきた。普段はどこにいるのかすら分からない俺の中の欲望に、一気に火がつく。

「ベッド、行こう?」

 足ががくがくと震えている比奈を半ば抱え込んで、俺はロフトに続く階段をのぼった。何が何だか分かっていないようなぼんやりとした表情で、比奈が身じろぎする。
 比奈をベッドに降ろすと、キシッと小さな音を立てた。俺もベッドに這い上がり、比奈をゆっくりと押し倒す。何をされそうになっているのか分かったのか、かすかに比奈が不安そうな表情で俺を見た。微笑んで髪を撫でると、とろとろと両腕を伸ばしてきた。それに応えるようにかがみ込んで、キスをしながらTシャツの裾から手を入れた。俺の首筋に回っていた手が離れて、俺の手首を掴んだ。

「大丈夫だから」
「ん、ふ」

 余ったほうの手で頬を撫でて、比奈のTシャツを脱がす。クーラーのないこの部屋は暑くて、比奈が気持ちよさそうに目を細めた。
 ロフトにある窓が閉まってカーテンも引かれているいるのを確認して(角部屋だから隣には聞こえないし別に見えないと思うが念のため)、ブラジャーも取り去った。