憎しみと愛情は同じ色
01

 梅雨がきた。ざあざあと陰気な表情を見せる窓の外の景色を眺めながら、今年は髪型がきまらないことを嘆かなくてもいいのか、とひとりごちる。
 雨の日はどうしても思い出してしまう。だから俺はこの時期が大嫌いだ。
 黒い着物をまとって庭を横断する。離れから母屋に向かうには、そこを通るしかなかったからだ。水を吸って重たくなった着物を引きずりながら、父親の部屋を目指す。「父さん!」。無言で俺を振り返った父親に、母さんが、母さんが、と繰り返す。目つきを鋭くして、父親が問う。「小百合がどうしたって」。
 必死だった。胃液を吐きながらどんどん弱っていく母さんを見て、直感的に死を想像した。
 重い腰を上げた父さんについて離れの部屋へ向かうと、母さんはまた吐いていて、俺と父さんを認めるとものすごい目つきでにらんだ。
「――……から」。母さんが、何事か呟く。父さんが、母さんを揺さぶりながらなんだってと聞きなおす。母さんは、父さんを無視して俺をまっすぐ見て、言った。

「あんただけは絶対、許さないから」