愛してるから縛るのだ
12

「なんだか先輩と帰るの久しぶりですね」
「補習だったからねー」
「先輩、宿題はやらなきゃメッですよ」
「今度から気をつけるよ。もう補習なんてしたくない」

 比奈と帰り道を歩きながら、うなだれる。あの一週間はほんとう地獄だった。
 まず、授業をちゃんと聞いていない俺たちにいくら易しいとは言えあんな漢字だらけのプリントを配るなんて鬼だ。しかも沢山先生は教え方が下手だ、というより俺たち三人をあしらうのに精一杯で補習なんかほどんどできていない。
 やっぱり梨乃ちゃんに教えてもらうのが一番だ。次の学年末考査は本当に進級がかかっているし、ちょっと無理は承知でお願いしよう。

「うー寒い」
「ほんと」

 比奈の制服のスカートから伸びる細い足は、見ているだけで寒い。女の子って大変だな、だからと言ってスカートの下にスウェットを履いてるのはちょっと俺としてはいただけないのだが。

「タイツはいたら?」
「タイツ……なるほどぉ」

 つないだ手をぶんぶん振りながら……こうすると温度が上がるらしい……、比奈は、手袋も、と呟く。

「え、それはやだな」
「なんで?」
「だって手つなぎにくくなるじゃん」
「……そ、かな……」

 ぽこぽこと頬を赤く染めた比奈が、俺の手をきゅっと握った。じゃあ手袋はいらない、とうつむき加減に呟いて、もじもじする。……可愛いなあ。
 今日は、駅前で比奈と遊ぶ予定になっている。だから比奈の家に続く小さな道は素通りして、俺の家に通じる細い路地も見ないふり。
 やがて着いた駅前のビルは、一ヶ月後に迫ったバレンタイン一色に染まっていた。

「先輩、甘いの好き?」
「ん? んー……嫌いじゃないよ」
「そか」

 熱心にバレンタインのオーナメントやうずたかく積まれたチョコレートやお菓子を見ながら、比奈がうなる。
チョコをくれるのは嬉しいけど、まさか手作りだろうか。なんか失礼だけど、比奈が作ると核兵器になりそうな気がするんだけど。
 ピンクや赤や白といった色を基調にした雑貨があふれかえる。あ、あのピアス可愛いな、比奈に似合いそうだ。

「あのピアス、比奈に似合いそう」
「ん?」

 ピンク色のきらきら輝くスワロフスキーのストーンで作られたハート型のピアスを見て、比奈は残念そうに首を振った。

「比奈、ピアスの穴開いてない」
「あれ、そうだっけ?」
「だって怖いんだもん」
「ああ」

 なるほど。まあ、ピアスの穴を開けない理由の上位に食い込むやつではある。

「先輩は、開いて
るですか?」
「ん、うん。右と左で三個」
「ひえー」

 三個も! と比奈がまじまじと俺の顔を見る。耳にかかっている髪をどけて、少しかがんで耳を見せてやる。今日は右耳に十字架とジルコニア、左耳は拡張していて今14Gまで広がっている。左耳を見た比奈が、目を大きく見開いて口もぽかんと開けて、つんつんと耳をつつく。