02
「真中じゃね?」
「……あ?」
「?」
振り向くと、同年代くらいの男の子と女の子数人のグループが、こちらに向かってきていた。
「ああ、久しぶり」
「ほんと久しぶりじゃん! お前、同窓会来いよな〜」
「なんで中学の同窓会を高校になったとたん開いてんだよ」
はえーよ、とぼやいて、でも笑いながら男の子の肩を軽く押した。
中学校の同級生なんだ、と思いながらぼんやりと、あゆむが彼らと楽しそうに話しはじめるのを見て、なんとなくつまらない気持ちになる。
いや、あゆむにだって、お付き合いがありますもの。ここでへそを曲げるのは人として、どうなんだ!
というわけで、あゆむがしゃべっている間にごみを捨ててしまおうと、屋台のほうへ向かった。ごみ箱に空になった焼きそばのパックとお箸を突っ込んで、となりの屋台であゆむとわたしの分のりんご飴を買う。
そして戻ってきた、はずだった。
「あれ?」
両手にりんご飴を持ったわたしは立ち尽くす。あゆむがいない。きょろきょろとあたりを見回すけど、あの派手な金髪はどこにもいない。
もしかして、入れ違いになっちゃった?
とりあえず、あゆむの姿を探して人混みをさまよう。迷子になったらその場から動かない、が鉄則なのはわかっているけど、あゆむも動いてしまっているんだから、その場にいたって仕方ない。
うろうろしながら、金髪の人を見つけては落胆し、を繰り返す。あゆむは背が高いから簡単に見つかると思ったけど、こんなにもたくさんの人がいると、それもまったく意味がないようだった。
結局、会場の隅のほうまで行ったけど、あゆむは見つからない。とりあえず、もといた場所に戻るべきか。でも、もといた場所ってどこだっけ、と思案しながら歩いていると、アナウンスが遠くで響いて、花火が打ち上げられた。
うそ、はじまっちゃった……。
空を見ていると、小さい花火がぽんぽんと空に咲いている。
そのとき、ふと人の流れに押され、身体が傾ぐ。左手に持っていたりんご飴を、落としてしまった。
「あっ」
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