耳杯

貴様よりは生きてやろうと、彼奴は痛い程の月明かりの下言っていた。格別意味は無いとは思ったが何故と問うてやれば、彼奴は何と答えたのだったか。耳杯に酒を注ぐのも面倒になり尊から直接に煽った。ごくり、喉がなる。ああそうだ。彼奴は酒で朱に染まった顔で、骨を拾うためだとほざいたのだった。骨の一本一片さえも俺の物だと、よくもまあ言えたものだ。俺はそれになんと答えたのだったか。否、答え無かったのか。尊から唇を離す。阿呆めが。貴様が先に死んでどうする。俺は別に貴様の骨など拾う気も無かったし、拾いもしなかったが、一人では酒も不味い。大地の下で合ったら文句でも垂れてやろう、と月を見上げた。

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