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 霊幻とホワイトデー


「私ずっとお願いしたかったんですよね」


そう言って伏せられた体に霊幻は馬乗りになっている。


「ホントにこんなんでいいの?」
「何言ってるんですか、霊幻さんの腕はそこらのプロより良いんですよ!」
「……あぁ、そう…」


ホワイトデーのお返しに欲しいもんでも買ってやるよと言ったはずだ。
なのに彼女は施術して欲しいと言う。
財布も痛まないし何より彼女の肌に触れられて役得で、これは逆にまた貰ってるようなもんじゃないのかと霊幻は思った。

しかし聞き捨てならないこともある。


「……お前他のとこでもマッサージして貰ってんの?」
「え。だって霊幻さん前お願いした時は断ったじゃないですか」
「まぁ、そうだけど」


今回はお返しにコレがいいと言われたから特別にしているだけで、そうでもなければまた断っていただろう。


「その施術師、女?」
「え?」
「…男か?」
「どうしたんですか…?……っだだだだ!痛い!」


突然ググッと強い力でツボを押され、下の体が身をよじる。


「あー、相当凝りが溜まってんなあ」
「だって時間決まってますから、そんな数回ちょっと揉んでもらったくらいじゃほぐれませんよ」
「そうだなあ」
「いっっったぁーーーーーーい!!霊幻さん!何ですか急に!」


とうとう両肘をついて身を起こしてきた。
痛みで涙目になった瞳が霊幻を睨む。


「やってやるよ」
「ん!?」
「毎週でもいつでも、俺がやってやる。から他所にはもう行くな」
「え…いいんですか?」


さっきまで睨んでいたのに霊幻の言葉を聞いてまたすぐに施術台に伏せて身を任せる。
その水着の紐だけの無防備な背中にオイルを塗りつけた掌を滑らせていく。


見てろよ、他のやつじゃ満足できないようにしてやる。





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