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互いに口を閉ざす二人から少し離れ、仙堂さんが持ってきてくれたパネットーネを切り分ける。小皿に持って二人のもとへ戻ると、ノエルさんはぱあっと顔を上げた。


「仙堂さんが持ってきてくれたんです。はい、どうぞ」

「ありがとうコトラ」


素直に受け取るノエルさんに笑みを返し、もう一枚の皿を巴さんに差し出す。


「どうぞ、巴さん。これがパネットーネですよ」

「……おう、」


大人しく受け取る巴さんがまじまじとそれを眺める横で、ノエルさんもそんな巴さんを覗き見ている。恐る恐るといった様子で一口咀嚼した巴さんは、目を見開いた。


「……うめぇ」

「! そう、でしょう?」

「あ、あぁ。柔らかくて、甘すぎねぇから食いやすい」

「うん、これはオレンジピールとレモンが使われてるから、後味も爽やかでしょう?」


大好きなパネットーネを美味しいと言ってくれた巴さんに嬉々とした表情を隠しもせず、ニコニコと微笑むノエルさんについに巴さんの口元が緩んだ。


「あぁ、これならさっき言ってたパンドーロってやつと食い比べてみねぇとな」

「! ぼ、僕が作るよ!」


と、なんだか温かな青い空気にこちらまで照れてしまうが、巴さんは俺以上に顔が赤く、ノエルさんはそれ以上に顔が真っ赤だ。
いつのまにやら俺の横に立っていた司さんが「いやぁ青春だよねぇ、砂吐きそー」などと笑う。


「小虎くんってさー、やっぱりお人好しだよねぇ。まぁ、俺はそんな君が反吐が出そうなくらい可愛くて好きだけど」

「本当ですか? 俺も性悪な司さんが好きですよ」

「え? 両想い? わぁ、嬉しいから小虎くんには良いもの見せてあげようかなー」


おいで。と手を引かれてソファーに座らされると、どこからか取り出したノートパソコンを開いた司さんが軽く操作して画面をこちらに向けると、


「え? これって、」

「クリスマスコレクションの映像でーす」


そこにはたくさんの人たちで賑わうファッションショーの様子が映し出されていた。




 


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