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「はい、各自グラス持ってー。持った? えー、クリスマスコレクションに参加している数名は遅れて参加しますが、奴らが来る前に美味しいものはとっとと食べつくす方向でよろしく。はい、じゃあ小虎くん乾杯の音頭よろしく」

「え!? えと、かんぱーい……?」


かんぱーい。勝手に司会進行していた司さんの指名で乾杯の音頭を取り、それにつづいて皆がグラスを持ち上げる。かつん、かつん、とグラスの重なる陽気な音が広がると、仲間内だらけのカシストは一気に賑わいが増した。


「メリークリスマス、小虎」

「トラちゃん、メリークリスマス!」

「おー、めりーくりすまーす……」


志狼と雄樹のあいだに座った俺は、早速二人が掲げてきたグラスに自分のそれを重ねる。なんだか緊張している俺に気づいた二人はそれでもニコニコと笑顔で、それを見ているうちに緊張していた自分が馬鹿に思えて力が抜けてしまう。
料理を小皿に取り分けてくれた仁さんからお皿を受け取って、仁さんが作ってくれたミートローフを早速食べてみれば、やばい美味くて感動する俺の横で、雄樹も志狼もその美味しさにますます笑みが深まった。


「んー、やっぱり仁さんが作る料理は美味しいなー、俺、いつでもお嫁さんに行くよ!」

「嫁なら料理はお前が作れよ」


と、早速いちゃつく二人を志狼と一緒にニヤニヤ見ていると、いつのまにか一緒になって悪い顔をしていた豹牙先輩が志狼の隣に腰を下ろした。あからさまに不機嫌な顔つきをした志狼に、豹牙先輩は違う意味で悪い顔を浮かべている。


「ほら小虎、かんぱい」

「あ、はい、かんぱいです」


しかし自分の道を行く豹牙先輩は俺のグラスに自分のグラスを重ねると、志狼のグラスにもカツンッと音を立てて重ねた。


「邪魔」

「ははは、美人が凄むとこえーな」


本当に邪魔だなぁ。と呟く志狼の表情に慌てて近くの野菜スティックを差し出すと、志狼は若干赤みがかった顔でぱくりと一口。


「おい小虎、他の男にあーんとか、浮気だろそれ」


なんてニヤニヤ笑う豹牙先輩に志狼と一緒に呆れ顔。




 


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