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「色々あってよ、勘当された」

「は?」

「まぁ、それで女のとこで世話になってるあいだに家買って、昨日引っ越しが終わったんだよ。引っ越しって疲れんなぁ、あれ」


なんだかいきなりとんでもない話題が飛び出すものだから、俺も仁さんもポカンと巴さんを見つめる。そんな俺たちが面白かったのか、巴さんはカラカラと笑いながらお手拭をテーブルに置いた。


「ま、そんなわけでここには邪魔するようになるから、よろしく頼むわ」


にこり。微笑む巴さんはきっと大変だろうに、だけど晴れ晴れとしたその笑顔に俺も仁さんも出かけた言葉が消えてしまって。俺は冷蔵庫から瓶ビールを取り出して、仁さんと巴さん、そして自分の分としてコップを渡し、そこに注ぐ。少し驚いていた二人はけれど、並々と注がれたコップを握り、笑った。


「お疲れ様です、巴さん」

「おう、ありがとよ」


カツンと重なったコップを一気にあおいだ巴さんにつづき、俺と仁さんもそれを飲み干す。
きっと、膨大な言葉の中から適切な言葉を選ぶよりも、こうして誰かと一緒に過ごす時間の大切さを俺は伝えたい。そう思いながら飲み干したコップについた泡が底に垂れていけば、巴さんはやっぱりカラカラと「うめぇなぁ」と笑った。


「へー、クリスマスねぇ。ケーキなら女は喜ぶんじゃねーの?」

「ま、ケーキくらいしか出せねぇけどな。店内の装飾を変える気はねぇし」

「ははは。クリスマスにここ来てツリーとかあったら爆笑する自信あんぜ、俺」


と、話はクリスマスに戻り、そのあいだ戻ってきた志狼を見た巴さんはこっそり「おいなんだあの美人、紹介しろ」と言ってきたので丁重にお断りしておいた。


「ツリーかぁ、ちゃんと見たことないです。あれってどんなものが飾ってあるんですか?」

「「は?」」

「え?」


仁さんと巴さんが呆然と俺を見る。首を傾げると二人の顔が険しくなった。




 


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