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23 - 18



「二年前、ノアという少年がとある麻薬組織の売人に連れられ、この街で麻薬の売買をはじめました。それは地元ヤクザの見えないところで狡猾に行われ、彼らは地元ヤクザ、警察を敵に回しました。

それと同時期、あるヤクザの傘下にある四条組は、敵対している組に麻薬売買の罪を着せられ、組長と数人の幹部が警察に捕まりました。
もうお分かりでしょうが、その四条組組長の息子が、四条巴その人です。

四条巴は敵対している組と内通している国外の売人を、当時から情報を持っていた江藤司に協力を仰いで突き止めました。が、結果はトカゲのしっぽ切り。売人たちが身代わりとして連れてきたノアだけが四条巴の元に残ったのです。

それからどういった経緯があったのか、自分も詳しくは知らないのですが四条巴はノアを生かしておいた。恐らく情報を聞きだすためであったと思いますが、それが悪かった。
ノアが生きていることを餌に、敵対している組は四条巴率いるブラックマリアにも麻薬売買の罪を着せたのです。現実、麻薬に手を出していた者もいたそうですが……結果、四条巴は自分だけ罪を被り、親子仲良く刑務所行き。とはいえ、彼の親はすぐ出所しましたが、四条巴はどうしてか二年の間、刑務所に留まりました」


カチャッ、とお皿の重なる音が、シンクの中で消えていく。


「刑務所暮らしの最中、四条巴は自分の名を記した手紙を江藤司に託しました。それはノアが死んだことを記してあり、それを見たノエルが今回、この街に来たことが騒動のはじまりです」

「ノアさんは……その、いつお亡くなりに?」

「四条巴が捕まる前、食事も与えていたそうですが……軟禁状態の部屋で息絶えていたそうです」

「そうですか……どうぞ、続けてください」


泡のついたお皿を手渡したとき、触れた仙堂さんの指がゾッとするほど冷たくて、俺は異様に寂しくなる。




 


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