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カシストに戻ってから数十分して、なぜかボロボロになった隆二さんが現れると、玲央以外の全員が目を瞠る。
タオルを持ちだして駆け寄る俺に、隆二さんは疲れ切った顔で笑ってくれた。


「はー、久しぶりだなぁ小虎」

「そうですね、でも隆二さん……どうしたんですか?」

「んー? あはは、まぁなんつーか、俺らの総長様は人使いが荒いわ」


そう言って受け取ったタオルで顔を拭った隆二さんの前に、仁さんがビールを置くと彼は一気に飲み干す。男らしい喉仏が上下するさまは、普段より荒々しくて色っぽい。


「……あーっ、くっそ……うめぇ」


カンッ。飲み干したジョッキをテーブルに打ち付け、隆二さんは笑う。高校生らしからぬ動作に苦笑を浮かべ、とりあえずは仕事に戻った。


「つーか玲央よぉ、お前あの場で宣言するかぁ? 普通さぁ……もっと、あるだろ?」

「知るかよ。どこでなに言おうと俺の勝手だ」

「あー……もう、本当にお前はさぁ……」


後頭部をわしわし掻いて、眉間にしわを寄せる隆二さんに苦笑する。
きっとまた玲央の無茶ぶりに振り回されたのだろう。隆二さんって人が良いからなぁ、それを平気で振り回す玲央も玲央だが。
謝罪の意味を込めてお粥を出すと、隆二さんはパァッと微笑むが、その隣で玲央がこちらを睨んできた。気にしない、気にしない。

俺の隣に立つ豹牙先輩がそんな二人に口を開いたときだった。真っ青な顔をした司さんたちが現れたのは。

彼らの異様な雰囲気に仁さんはギョッとしていたが、雄樹と志狼は接客をしながらほくそ笑んでいる。あいつらタバスコやら醤油やらぶち込んでたからなぁ……。


「……仁、とりあえず水くれ……」

「……おう、座れや」


うえっぷ。吐きそうな動作をしながら水を求める司さんに、仁さんはカウンターを促すのであった。




 


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