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増えたスキンシップは以前からそうだったように、少し過剰な気がしないでもない。
幼児退行したあの日から、玲央はやたらと俺を自分のベットで寝かせてくれるし、寝る前には必ず背中を舐めてくる。
家に帰るとなにかと抱きしめ匂いを嗅いでくるし、テレビを見ているといつのまにか膝の上に座らされている。

そのとき心臓がバクバク高鳴るのは云わば必然なわけで、いくら兄弟とはいえこうも綺麗な男に施される温和な甘やかしは、経験不足の俺を困惑させるには十分だ。

ただ一つはっきりしていることは、そんな異常ともいえる触れ合いが嫌ではない、ということだけ。


「うーん……?」


今日も今日とてお粥のてっぺん頂上を目指して励んでいたバイトからの帰り道、とっくに時計の針は深夜に入り、辺りは暗い。
そんな暗い道を頭を傾げて歩く俺の姿はさぞかし変質者だろうが、誰もいないので大目に見て欲しい。


「好きか嫌いかだったら好きだ。でもそれが違う人だったらきっと違うわけで……?」


ぼそぼそ。呟き始めた俺の変質者っぷりが跳ね上がるも、人っ子一人いないので良しとしよう。

そもそも、いくら玲央からの甘やかしが好きとはいえ、それは俺が過度なブラコンだからなわけで。
玲央と違う人を比べたところで俺が喜ぶのは当然玲央との触れ合いだ。で、それはなぜかというとブラコンだからだ。

……答えはこうも明確に出ているのに、どうしてこんなにも腑に落ちない?

カツン。
一人怪しさ満点で歩く俺のうしろから、ふいに足音が聞こえた。
くるりと振り返るが誰もいない。辺りの暗さと静けさにゾッとして、少し早足で歩いてみると、それに伴い足音も早くなる。
……誰かにつけられている?




 


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