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恐る恐る振り返ると、俺が落とした小皿を拾っている玲央の姿が。今、なんの気配もなかったんですけど。
無言で小皿を差し出す玲央に礼を言って受け取ると、なぜかため息をつかれた。


「集中してなにやってるかと思えば、お前、このお粥の山をどうする気だ」

「え? そりゃもちろん食べるよ? 協力してくれるでしょ?」

「……はいはい」


ふたたびため息をつきながら体の向きを変える玲央の服を握る。
少し引っ張られた玲央がこちらを見るが、その表情はなんだか驚いているようで面白い。


「気づかなくってごめん。おかえりなさい」

「……ただいま」


くしゃり。柔らかく微笑んだ玲央に頭を撫でられる。いつものことなのに、どうしてかドキリと心臓が高鳴った。そんな俺から手を離し、玲央は着替えるために自室へ向かう。
今、その背中に抱き着いたらどう思うだろうか。驚くかな? 笑うかな? それとも甘えたがりってからかうかな?


「……?」


どくり、どくり。心臓の音が大きい。……風邪、ひいたか?

それからお風呂に入った玲央が上がってくる頃には心臓も落ち着きを取り戻しており、一応熱を測ってみたが風邪ではないようだった。
玲央が買ってきてくれたクリーム乗せプリンを頂いていると、いつぞやのように足を軽く蹴られ、反応した瞬間またもや膝の上に乗せられる。


「……一口欲しいの?」

「分かってんなら早くしろよ」

「ん、あーん」

「……」


クリームをちゃんと絡ませてすくったそれを差し出すと、やはり玲央は一瞬固まったのだけど、以前よりも自然な動きでパクリと一口。
スプーンに少し残ったクリームさえも舐めとる姿は目に毒だ。なんという色気……。


「熱愛発覚」

「は?」

「週刊誌で見た」

「わざとらしいあの記事か。俺とあの女の後ろ歩いてんのスタッフだぞ?」

「え? あ、そーなの?」


綺麗に舐めとられたスプーンの先をかじると、急に玲央が距離を詰める。




 


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