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20 - 1



翌日、俺は学校を早退して(サボって)病院に訪れた。
雄樹は理由を知りたそうにウズウズしていたけれど、もうちょっとだけ待って欲しい。

いつものように診察券を出す。俺の顔を覚えているのかどうかも分からない受付のお姉さんは、仕事と割り切った態度で待合室へと促した。
いつ来ても人の多い院内は、独特な消毒液の匂いが充満している。俺は広い待合室のソファーに腰を下ろし、財布の中を覗いた。


「……はぁ」


俺が幼児退行したとき、勝手に荷物を漁ったという玲央の言葉には仕方ないと納得できるが、だからと言って……。


「やっぱ、ないか」


だからと言って、其川さんがわざわざくれた連絡先の書かれたメモ――裏に俺宛てのメッセージ付き――を、盗ることはないだろう。
どこまでも横暴な姿勢にやはり弟として不安にはなるが、どうしてか喜んでしまう俺にも玲央と同じ血が流れていると実感してしまう。
あの兄にこの弟あり、か。似てないけど、最低なとこは似てるかも。なんて。

それから暇を持て余して週刊誌を手に取った。たいして中身も見ずにパラパラ捲っていると、ふと見覚えのある顔が映っていることに気づく。
それは、あの噂の歌姫さんだった。


【新星の歌姫! モデルと熱愛発覚!?】


なんとも週刊誌らしい見出しについ苦笑が浮かぶ。大きく掲載された写真には、目隠しがされているとはいえ、あの歌姫さんと玲央らしき男性が映っていたのだ。
じわっと染みが広がるみたいに嫌な気持ちにもなるが、記事の左下にはいつぞや女装した俺と玲央の写真があり、そちらにも熱愛疑惑があると書かれているのだ。
なんとまぁ、玲央が歩いたあとには泣き崩れる女性も多そうな記事の内容である。

そもそも俺と玲央のあの写真での表情をきっかけに、歌姫さんは玲央をMVに出したいのだと書いてあるが、果たして嘘か本当か、玲央に聞くのが一番早いのだろうなぁと、ますます苦笑を浮かべた。




 


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