「き、君があのコトラ?」
「どの小虎か知りませんけど、すっげーブサイクですけど小虎です」
「……ワォ」
大人げないが、嫌味たらしく言ってのけると外人は目を見開いて一歩、後退した。
「信じられないな……ここまで違うと別のDNAが交じってるとしか思えない」
「……ご用件は」
「あぁごめんごめん。僕こそ紹介が遅れたね、僕は」
先ほどとは打って変わって、人当りの良い笑みを浮かべた外人が手を差し述べながら近づいて来た瞬間、その身体が急に後ろへ下がった。
びっくりして後方を見ると、そこには怖い顔をした玲央が。
「ノア……止めろ」
「レオッ!」
がばり。なんの躊躇いもなく熱いハグをかました外人に目が丸くなる。
ぎゅううう! なんて音が聞こえてきそうなほど熱い、それは熱い抱擁だ。
ちくり。と、胸が痛むのは、なぜだろう。
「おい離せ。暑苦しい」
「相変わらずそっけないなぁ。でもそんなとこも大好きだ」
大好き。とても言うには難しいその言葉を、堂々と相手に告げる外人の姿に胸の奥が苦しくなる。
対抗心みたいなものがフツフツと湧き上がるのは、ブラコンすぎる証だろうか。
「それよりてめぇ、どうやってここを嗅ぎ付けた」
「あはは。調べるのなんて簡単だよ〜」
「……はぁ……さっさと消えろ、話なら明日にでも聞いてやる」
「も〜、つれないなぁ〜」
邪険にされているというのに、外人はニコニコと嬉しそうである。
身の置き場のなさに服の裾を握ると、外人の後ろに立っていた玲央が玄関に入り、ついて来ようとした外人を押しのけた。
「とにかく帰れ。家にあげるつもりはない、今後もな」
「レオぉ……」
まるで捨てられた子犬みたいな目で見つめる外人もなんのその、玲央はなにも言わずに扉を閉める。
ちょっとだけ安心してしまった俺は人として最低だな。ちくしょうめ。
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