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「……あー、そうだな、まぁ確かにここ最近休みがちだったトラにはそれなりの誠意は見せて貰うつもりだ。例えその理由が病気だとしても、社会ってのをあんま舐めるような真似は覚えて欲しくねぇ」


玲央の広い背中越しに見る仁さんの瞳は力強い。息を飲むが、それ以上に自分に気合を入れる。


「けどな、仕事への姿勢や努力は認めてんだ。お前らの間で昔、なにがあったかも想像はつく。だからこそ、玲央、お前の気持ちはちゃんと受け取った」


トン。玲央の胸を軽く叩いた仁さんが笑う。
強面なそれだが、とても優しいのが分かる、雄樹も俺も大好きな笑顔だ。


「見守るっつったからにはその言葉、死ぬまで守れよ」

「あぁ、そのつもりだ」


いつもの調子で玲央が不敵に笑うのが分かる。二人の間に流れる空気の質が、むず痒いのに温かい。
俺はそんな二人に近寄り、頭を下げ、すぐに顔を上げた。


「仁さん、俺まだまだ子供ですし、これからも迷惑かけると思います。でも、精いっぱい頑張るのでこれからもよろしくお願いします!」

「おう、トラは稼ぎ頭だしな。これからもしっかり働いてもらうぜ」

「はい!」


ぐしゃぐしゃ。いつものように頭を撫でる仁さんの手に身を委ねる。でもいつもよりくっすぐたくて、少し恥ずかしいや。
そう思っていたら、急に体を引かれ、温かいなにかに包まれた。


「……俺にまで怖ぇ顔すんなよ、玲央」

「死ぬまで守る約束があるからな」


なにか……俺を抱き込む玲央が頭上で笑う。そんな玲央を見る仁さんの目は呆れたそれだが、少しだけ気恥ずかしそうに笑っていた。




 


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