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「小虎くん……? 君……」

「拓美お兄ちゃん! 見て、お兄ちゃんとお出かけなの!」

「……そう、お兄ちゃんとお出かけなんだ。良かったね?」

「うん!」


拓美お兄ちゃんに近寄り、いつものように白衣を握ると、後ろからグイッと引っ張られた。
びっくりしてバランスを崩す。転ぶと思ったけれど、お兄ちゃんが俺を支えてくれていた。


「……君が小虎くんのお兄さん、だね?」

「あぁ。それよりアンタ、これ、どういうことか分かってんだろ?」

「……話せば長い。あと二時間、すまないが待っててくれるかい? 下に食堂があるし、庭を散策していてもいいよ」

「分かった。庭にいる」


行くぞ。というお兄ちゃんの言葉にしぶしぶ白衣から手を離すと、拓美お兄ちゃんは笑顔でまたあとでね、と手を振ってくれた。
お兄ちゃんと二人、途中で買ってもらったジュースを飲みながら庭のベンチに腰掛ける。
お兄ちゃんは怖い顔をして煙草を吸っていたけど、俺が悲しい顔をするたび頭を撫でてくれた。

しばらくして、拓美お兄ちゃんがやって来た。


「待たせて悪かったね。部屋を用意したから、そっちに移動しようか」

「拓美お兄ちゃん、今日はお薬飲まない?」

「ん? うん。小虎くんはもう健康だから、お薬飲まないよ。代わりに飴をあげる」

「ほんと? じゃあ大丈夫!」


にっこり笑う拓美お兄ちゃんが頭を撫でてくる。嬉しくて抱き着こうとすると、また後ろから引っ張られた。
さっきより怖い顔をしたお兄ちゃんが拓美お兄ちゃんを睨んでいたけれど、俺は分からずに首を傾げた。

それから拓美お兄ちゃんについていき、どこかの部屋につくなり絵本と飴を渡された。
俺は嬉しくて近くの椅子に座り、そっと絵本を開く。
そんな俺の隣に座ったお兄ちゃんと俺の前には、拓美お兄ちゃんがお茶を置いてくれた。




 


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