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確かにここ最近、また帰りが遅くなることも多くなったけど、ちゃんと帰ってきてたじゃん。
自分が先に帰ったときは、俺にしょっぱい晩ご飯作ってくれてたじゃん。
前に俺が寝てから帰ってきたとき、何度か頭撫でてくれたこと知ってんだぞ。
いくら帰りが遅くたって、朝には欠伸しながらおはようって、言ってくれるじゃん。


「……」


朝、目覚めて誰もいない家の中は異様に広くて寂しくて、とっても寒かった。
朝食を作る気力すら湧かなくて、市販のコーンポタージュで済ませたが、美味しいのかどうかも分からない。

みんな、玲央のことをお願いね、と俺に言う。
そう言われるたびに、玲央はたくさんの人に愛されてるんだなぁって実感できて、本当に嬉しいんだ。
だから玲央の迷惑になったり、邪魔になったりすることだけはしたくない。でも、だから――やっぱりワガママを言うのは少し、怖い。

西さんは玲央の女だと言う。
巴さんは他人にキスしない玲央を大事にしろと言う。


「……んだよ、それ……」


玲央のことは大好きだ。そういう意味じゃなくて、家族として、兄として、人として、大好きだ。
そんな玲央に追いつきたいって、がむしゃらになっていたけれど……。


「…………女々しいなぁ、俺」


分かねーよ。大事にしてるじゃん。弟として、頑張ってるつもりだよ。
これ以上どうしろって言うんだよ。なにが足りないのか、教えてよ。

馬鹿レオ。ばか、ばか、ばか。
玲央のくれたケーキで俺、大事なことに気づけたんだよ。それを聞いて欲しかったんだよ。仁さんが受け入れてくれた、雄樹が受け入れてくれた昨日、それを他の誰より玲央に、聞いて欲しかったんだよ。

昨日じゃなくても今朝にでも、ありがとうって言いたかったんだよ。


「ばかれお……」


ぽつりと呟いたそれに、返事はなにも来なかった。




 


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