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――朝、それは生ける者に等しく訪れる……嫌だと思っても、訪れる。

チチチチチ……。
鳥の声を聞きながら俺は布団から出られずにいた。
理由は二つある。一つは飲み過ぎによる頭痛のせいだ。そしてもう一つは……玲央に会うのが怖いから、である。

昨晩、いやつい三時間前か。
トイレでのあの騒動後、平然と隣に座る玲央にビビりながら、帰るのが怖くてつい朝まで飲み明かしてしまった。このときばかりはハイテンションの司さんと巴さんが神様に見えたが、終わりというものは何事にも訪れる。
帰りのタクシーでどれだけ俺の肝が冷えたか、玲央には分かるまい。
そうして帰るなり部屋に逃げ込み、どこかへ消え去った眠気を探しながら布団を被り、今に至る。

大体おかしいだろ、なんだアレ。
突っ込みどころが多すぎて逆に突っ込めねぇって、まさにアレだよ。
なんだあの目は、あの行為は、そしてあの理由は。
いやまぁ、なんだ。ちょっと気持ちいいとか思ったけど? ――じゃなくて。
そうじゃなくて、俺と玲央は兄弟だ。家族だ。

あれはダメだ。絶対に、ダメだ。

――と思って目を瞑り、次に開けたとき外はすでに暗くなっていた。
あぁ寝ていたのか。てか寝れたのか。なんて鈍い頭で理解しながら欠伸をひとつ。


「おい、起きてるか?」

「うおっ!?」


そんでいきなりノックもなしに声をかけられ、不審者丸出しの俺である。
恐る恐る扉に視線を向けるが、そこが開かれる気配はない。


「飯作ったけど、お前先に風呂入れよ」

「へ? あ、風呂?」

「入んねぇで寝ただろ」


あぁ、はい。入らないで寝ました。枕とかシーツとか汚れてる気がします。……洗おう。
扉の前に玲央の気配を感じつつも、俺は布団から抜け出した。枕カバーやシーツを剥ぎ取り抱え込む。そのまま勢いで扉へ行き、開けようと試みるも両手が塞がり上手くいかない。と思っていたら扉が開いた。

――あ。と口に出なかっただけ、マシかもしれん。




 


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