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なんども絡まれながらもお粥を作り終え、やっと巴さんの前に出す。
すでに三本目のビール瓶に手をつけていた巴さんは嬉々としながらレンゲを手に取った。
「いただきまーす」と大変元気のよろしい挨拶のあと、冷ますことなくパクリと一口。その瞬間、巴さんの目が見開き、彼は俺とお粥を何度も交互に見返した。
口に合わなかったのだろうか? 不安になった俺が声をかけようとした瞬間――、


「……へぇ、こりゃ、なかなか……」


と、先ほどのような肝の冷える含み笑いを浮かべたかと思うと、また上機嫌にお粥をかきこんでいた。


「……巴」


そうしてお粥を食べ終わった巴さんが四本目のビールに手をつけた時、上にいるはずの玲央がカシストにやって来た。その表情はいつもより鋭く、明らかに嫌悪の色が浮かんでいる。
打って変わって巴さんは目を輝かせ、そんな玲央を自分の横に招き入れた。
招かれた席を一度見た玲央が俺に視線を移す。なんだか機嫌の悪い玲央に微笑みを向けるとため息をつかれた。なんだよ。


「ビール以外」

「あぁ」


しぶしぶ巴さんの隣に腰を下ろした玲央は、わざとらしくビール以外を主張する。それを聞いた巴さんが「つれないねぇ」と笑うも玲央はシカトだ。いや、眉間のしわが増えた。
分かっていたと言わんばかりの素早い対応を見せる仁さんは、そんな玲央の前にテキーラを置く。


「玲央くんよぉ、おかえりの一言はねーのか? ん?」

「……」

「おいおいシカトかよ。可愛くねぇなぁ。なー、小虎」


また俺に振るのか。もう止めてくれ。そう思う俺の気持ちを楽しんでるとしか思えないイイ笑みを向けてくる巴さんは、逆に清々しいほどである。

カタン、とグラスを置いた玲央が眉間にしわを寄せたまま、じっとりと鋭利な眼光で巴さんを見た。


「こいつに手ぇ出すな」


そんな玲央を見た巴さんは目を丸くしたと思いきや、またも豪快に笑うのであった。




 


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