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なんだなんだ、一体どうしたと言うのだ。有り合せの食材で作った炒飯を、あの玲央が食べてやがる。……悩みすぎの結果なのか?

試食会でお腹いっぱいの俺が呆然と見つめるも、無表情なままの玲央はついに完食。綺麗になったお皿を見て、さらに目が丸くなる。


「ごちそうさん」

「はぁ……お粗末様でした」


食後のビールをあおる玲央に、思わず敬語で返す姿は間抜けなことだろう。そんな俺を無視し、腹の満たされた獣は風呂へと行ってしまった。
玲央が去ったあと、もう一度お皿を凝視する俺の口元がニヤけていたことは、絶対に秘密である。


「玲央、プリンは?」


玲央につづいて風呂に入った俺は、さっそく冷蔵庫からプリンを取り出す。
まだ上半身裸でソファーに座り、テレビを見ている玲央は「いらねぇ」と一言。まぁ分かってましたけどね。

プリンを手にスプーンを咥えて移動する。どこに座ろうか迷ったが、結局床にした。
テレビから流れる番組は深夜コメディーである。ゲストや視聴者の笑い声が静かなリビングに木霊した。


「んぐっ!?」


そんなテレビを見ながらプリンを食べる俺の尻を、玲央が足で軽く突いてきやがった。今度は八つ当たりか? 少し睨んで振り返った瞬間、体が浮く。そして気がついた頃には玲央の膝のあいだにお座り状態。……なんで?


「玲央?」

「一口寄こせ」

「へ? あぁ、玲央の分なら冷蔵庫にあるけど?」

「一口でいい、寄こせ」


なんという俺様。まぁ慣れたけれども。
とはいえ俺が使っていたスプーンでは食べないだろうと思い、新しいものを取りに立ち上がった。ら、無理やり戻された。しかも今度は腰に腕が回っている。……なんで?


「……新しいスプーン取ってこれねぇんだけど」

「それでいい」

「? これ?」

「あぁ」


おぉ、明日は槍でも降るのだろうか。あの変な潔癖症の玲央様が、俺の使用済みスプーンでいいとおっしゃるぞ。




 


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