それから俺の案を受け入れてくれた仁さんと二人、もちろん手は止めずにおかずについて話し合う。
やっぱ塩昆布みたいなしょっぱいものは外せないだろ? 和え物とかもいいかもしんないな。あ、ばあちゃん家で食べた味噌みたいな、なにかと合わせたやつとかどうだろ?
「やっぱ実際、食い合わせてみねぇと分かんねぇな」
「ですね」
結局話し合いはそこに行きつき、明日にでも閉店後試食会をしようということになった。
翌日、カシスト支店もとい調理部が終わるなり、俺と雄樹は学校から抜け出した。
近くのスーパーで待ち合わせをしていた仁さんと合流し、三人であーだこーだ言いつつおかずになりそうなものをカゴの中へ。傍から見ると保護者と子供である。間違いではないけれど。
「あれ? トラじゃん。つーか雄樹も……うぇ!? 仁さん!? ちすっ!」
そうして買い物を終えてスーパーから出ると、私服姿の不良たちと遭遇した。しかも以前、俺を合コンに誘ってきた集団だ。
仁さんはそんな彼らに適当な返事をしながら「おめーらサボりかー?」なんて笑っている。まぁ俺たちもサボりですけどね。
「てかマジ良いとこで会った。トラ、今から合コンいかね? 仁さん、トラ借りてっていいっすか?」
「あぁ? ダメに決まってんだろーが。こいつは今から仕事だ、仕事」
不良の一人が俺の肩を抱きながらまた合コンのことを口にする。当然、それは仁さんに一刀両断されていたが、俺自身行く気はないので仕方がない。諦めてください。
ちくしょー、惨敗だったらお粥食いに行くからなー! と言いながら、不良たちはそれでも笑顔で向こう側へ歩いて行ってしまった。売り上げ的には来てくれたほうが嬉しいが、まぁ頑張ってきてください。
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