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「それからタクシーで家まで送ってくれた玲央は、自分が悪いわけでもないのにお母さんに頭を下げてくれたの……。
私、多分そのときなんだと思うんだよね。――玲央が、助けてくれるって思っちゃったのは」


目元にくしゃりとしわができる。無理に笑う彼女の頬が、はたから見ても分かるほどに震えていた。


「意外と開き直ったんだよね、私。だから引きこもるよりも玲央を探しに出歩くほうが多かった。見つけてからは、玲央がいくら家に送ろうとしてもくっついてた。離れるもんか、離れるもんかって。
その頃はたびたびここにも顔出してから、仁さんは知ってるもんね?」

「……まぁな」


ふいに泉ちゃんが仁さんを見上げるが、彼はばつが悪そうに視線をそらす。


「もちろん、玲央にくっついてれば男も寄ってきてさ。そのたび、玲央は私に自分の上着を貸してくれたの。……私、それに甘えたの。
玲央は私のこと、彼女扱いしなかった。ただ上着を貸すだけで、優しい言葉をかけるわけでもなくて、彼女だって宣言したわけでもない。
上着で守られた気になって、特別なんだって勘違いして、そのうち誰かが恋人同士だって言いふらすまで、私は玲央にくっついてた」


口元から笑みが消えていく。最終的に表情が無になったとき、そのあまりの姿にゾッとした。


「……その頃になると、私は玲央に抱いて欲しいって思うようになってた。けど、玲央はそんなこと、絶対しなかったの。ううん、多分玲央はね、私のこと……女として見てなかったんだと思う。
だから私、知らない男の子が告白してきたとき、もういいやーって抱かれた。
犬みたいに腰ふっちゃってさぁ……気持ち悪いなぁ、馬鹿だなぁ……この人、私にこんなに腰ふっちゃってさぁ……みじめだなぁって、思ったんだぁ……」




 


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