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「あー……マジ、おっかしー……さいこー、トラちゃんサイコー!」

「うっせぇよ。つーかなんであのふりょ……上級生たちなんだよ」

「んー? いや、メールしたんだー。今日からお粥売るから買いに来いって。んで周りのやつらにも教えとけやってね」

「それ脅しっていうんだぜ、知ってるか?」


アホな内山がそんなことをすると誰が思う? 少なくとも俺は思ってもみなかった。あ、仁さんは予想できたかもしれないけど。
ってそうじゃねーよ。アホか、やっぱりアホなんだなお前は。


「おい、梅干しあんの?」

「え? あ、はい。梅と卵味噌が……」

「卵味噌? ……じゃ、それにするわ」


勝手に調理室の椅子に座る不良たちから声をかけられ、思わずビクついてしまう。
内山にはすでに慣れたが、やはり不良という存在は怖い。いつその逆麟に触れてしまうか分からないのだから。

それでも内山がいるおかげで多少落ちついていられる俺は、注文されたお粥を三つ作り始める。


「ねーねー、見てこれ。俺作ったのー」

「うっわ、なんだこの色。キモ」

「ひっどーい! 俺めちゃくちゃ頑張ったのにー! だから食えよ」

「は? 無理、マジ無理、おい、やめ…………マズッ!」


そんな俺のうしろでは、内山作チョコレート粥が不良たちの口へと突っ込まれていた。アーメン。
不良たちはみな顔を青くして、水道水で必死にうがいをしている。体験者として同情せざるを得ない。

そうして内山がアホなことをしでかしているうちにできあがったお粥を運ぶと、不良たちは見た目が無事なお粥を見て、ホッとしたような表情を見せた。
スプーンを握り、そっとすくう。しばらく見つめていたかと思うと、ゆっくりお粥を口の中へと運んだ。


「……染みる」


染みる!? 口の中が!?
ギョッとして不良たちを見る。内山はニヤニヤとしていたが、リーダー格であろう男がズズッと鼻をすすり、また口へと運んだ。


「昨日飲みすぎたんだよ……だから、なんか……染みる」

「……あぁ、そういう」


そういう染みる、ね。




 


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