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「さて、と」


笑みを貼り付けたまま、志狼は俺の前にしゃがんだ。
くわえている煙草の灰が、ポトリと落ちる。


「なにを説明すればいい?」

「……全部、だろ」

「うん、分かった」


くいっと上がった志狼の手が、そのうしろにいる不良たちを指す。


「こいつらは小虎のお兄ちゃんが嫌いで、復讐したいって思ってる。で、俺は怨みもないけどそれに手を貸した」

「……」

「で、いつだったかな? 小虎とお兄ちゃんが出かけたとき、あの日にさぁ、喧嘩したでしょ? あれ、わざとなんだ」

「……え?」


あの日……とは、多分俺と玲央がはじめて出かけた日のことだ。
じゃああの二人組の不良が……?


「お兄ちゃんさぁ、弱みってのがなくて。最初は彼女……泉ちゃん? だっけ? あの子を標的にしようとしたんだけど、どうもお兄ちゃんの反応がいまいちでさぁ、餌としては不十分。
で、モデルって職から失脚させるにも、事務所の女社長はお兄ちゃんが不良って分かってるから、脅しにも屈しない」

「それで、俺か?」

「らしいよ? まぁ、俺はそこんとこは関与してないから。小虎がお兄ちゃんと出かけて喧嘩売られる数日前かな? そんくらいにこの復讐に誘われて、乗った」

「……」


ぐるぐる。ぐるぐる。
回る思考が定まらない。頭が、痛い。


「彼女、事務所に脅し。それがもう終わったあとに俺が入って、じゃあ弟はどうかなって様子見するためにわざと一緒のところで喧嘩させてその反応を見た。正直、あまりいい反応ではなかったけど、餌としては十分なんだよ、小虎は」

「……」

「知らないでしょ? お兄ちゃん、彼女とは一度も出かけたことがないんだよ。他の女ともない。隆二? とかは不良やモデルがらみでよく外を歩くけど、昼間っから不良でも仕事でも関係なしに誰かと出かけるなんてね、小虎だけなんだよ」

「……」


不覚にも、その言葉に喜んでしまう自分が悔しくて、俺は志狼の視線から目を逸らした。




 


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