×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

2 - 5



「――というわけで支店を開きます!」

「……あ?」


内山が場所取りで勝ち取った調理室にて、目覚めたアホの第一声がそれだった。


「なに、支店って」

「ばっかだなー、トラちゃんはー。ここでカシストの支店をやんの! ま、名目上は調理部ってことで〜、お昼限定でお粥売るべー」

「とりあえず夢の世界から帰ってこい」


アホだ。やっぱりコイツはアホだ。
俺の中で内山の位置が確たるものになりつつある中、当の本人はケラケラと笑いながらガス栓を開き、火をつけようと試みている。


「あれ? つかなーい」

「そりゃそうだろ……不良校でガス通ってたら今頃燃えてんだろ、この高校」

「あー、なるほどー」


馬鹿なのはどちらだろう。そんなことを思いつつ壁に掛けられた時計を見る。もう昼過ぎだった。
とりあえず昼飯を取りに教室へ戻り、鞄を持って調理室に戻れば、アホはまだ諦めていなかったのか、またガスコンロをいじっていた。


「ね、先生に言えばガス通してくれんじゃね?」

「んなわけないだろ。ガス通した時点で全焼だぞ」

「えー? トラちゃんウケる〜」

「お前の頭が一番ウケるわ」


ケラケラ、ケラケラ。笑っていた内山は急に立ち上がり、「じゃ、職員室行ってくるねー」などと出て行った。
どうしよう、やっぱりアホだあの内山。


「は?」


それから数十分後、教師を連れてきたアホの言葉に、俺は自分の耳を疑った。


「だからー、お粥食べてみてー、それから決めるって〜」

「……は?」


内山いわく、調理部をやるのはいい。だがガスを通すのはやはり難しい。だからまぁ、とりあえずそのお粥とやら、食べさせろ、らしい。
んな甘い話があるものか。どうせ内山が教師の胸倉でも掴んで脅したに決まっている。なんせここの教師は生徒に弱いのだから。


「というわけでー、今からコンビニ行こ? 材料調達するべーし」

「……」


えー、ちょっとマジで、突っ込んでいい?




 


しおりを挟む / 戻る