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蹴られた不良が壁のほうまでぶっ飛ぶと、数秒固まった空気は一気に変わる。
座っていた不良や床に寝そべっていた不良たちが一斉に内山のほうへ殴りかかってきたのだ。

しかし内山はいたって普通で、むしろ喜ぶように笑みを深くし、飛びかかってきた不良を足蹴りすると、倒れたそいつを顎から一蹴。
おい、思いっきり鼻血出てんぞ、そいつ。


「ふっざけんなっ!」


上履きに染みた血を床に擦り付けている内山のうしろから、不良が一人飛びかかる。
殴られる! そう思って思わず身を乗り出すが、内山はその場にしゃがみ、それを避けると不良の腹に見事な膝蹴りをかました。


「……こわ」


――そう、場所取りとはこの学校にまかり通る謎のルールだ。
弱肉強食がモットーのこの学校では、普通教室以外が使われることはなく、それらは強者のサボり場所となっている。
サボり場所が欲しければ、先のサボり住人を喧嘩で負かし、場所を取るしかない。それが場所取りである。


「勝ったよー、トラちゃん?」


で、見事勝者となった内山は嬉しそうな笑みでこちらを振り返った。


「……お前こえーよ」

「え、褒め言葉? でもダメよ! 俺にはマリちゃんがいる!」

「一生マリちゃんのものでいろ、全人類のために」


早々と上級生らしき不良たちを倒した内山は、俺とたいして変わらない腕で軽々と不良たちの襟元を掴み、窓の外へ投げ捨てる。
容赦ない、内山さん。


「これで今日から調理室は俺とトラちゃんのもんだねー」


にへっ。そんな笑顔をこぼした内山を見て、喜んでいいのか困るべきなのか分からなかった俺は、とりあえずさっさと眠ることにした。
内山、俺、お前みたいな使える友人がいて本当助かるわ、マジでありがとな。などと思いながら。




 


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