×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

11 - 5



「そんときはこいつ、傷ついた子猫みてぇに威嚇してよ。俺に構うな構うなって言うくせに目で訴えてんだよな、助けてって。当然拾ったさ、俺が殴り飛ばしてきた不良どもにそうしたように」

「……はい」

「最初はそりゃ、爪立てて逃げ回ってたね。でも喧嘩でボロボロになった体引きずって、ここに逃げ込んだときがあったんだよな。
そんとき怒ったわけ、自分から傷つきに行ってんじゃねぇよって、もっと自分を大切にしろって。

……それから、だったな。雄樹が俺に少しだけ心開いたのはよ」


空になったグラスをテーブルに置いて、彼は酒を注いだ。溶けて小さくなった氷が、ウィスキーをキラキラと輝かせる。


「んで、それから雄樹はここ来るようになって、そのとき三代目だった玲央たちにも懐くようになって、まー色々あって、俺が嫉妬して雄樹を犯した」

「ごふっ!?」


静かに聞いていたというのに、突然の爆弾発言に口に運んでいた酒が飛び出た。
ゴホッ、ゴホッ。咽る俺に横目で笑う仁さんが、どこか悪い顔をしている。


「で、まぁあとはトラも知ってるように、雄樹も俺のこと好いてくれて、悪口言われてブラックマリアと喧嘩して、俺は雄樹を選んでアイツらを追い出した」

「……」

「ははっ、最低だろ? でもよ、俺にとって雄樹はそんだけ大事なんだよ。他のなに失ったって構わないくらい、雄樹は俺の絶対だ」

「……」


俺に言われているわけではない。もちろん分かっている。だけど真っ直ぐと誇り高く言うものだから、つい顔が赤くなってしまう。


「昔よ、コイツが俺に言ったんだよな」

「……なん、て?」

「アンタがいるから、俺は落ちこぼれじゃない」


照明に照らされたウィスキーが光を反射した。目を細めれば、そこには迷いのない彼の姿が、あった。




 


しおりを挟む / 戻る