トランプの山からスペードの2を抜いた司さんがカードを混ぜる。それから一枚ずつ俺と自分にカードを配った。
手元にある計、十七枚のカードを見て、一瞬顔が歪んだかもしれない。
「んじゃパス(交換)しよっか。三枚選んで」
「はい」
手元にある十七枚に目を向ける。スペードのキングはあるが、それ以外の罰点カードはない。
司さんの手にあるか、残ったトランプの山にあるか……。とりあえず柄が均等になるように三枚のカードを排除する。
同じように三枚選んだ司さんが伏せたまま、こちらに差し出した。俺も伏せたカードを彼に送る。
司さんから渡されたのはハートの7、ダイヤの2、そしてハートのクイーン。
「じゃあ、ゲームスタートだね。最初のリード(カードを出すこと)は小虎くんでいいよ」
「はい」
にこり。笑った司さんに笑みを返す。
まずは様子見として、彼から受け取ったダイヤの2をリードした。彼が出したのはダイヤの7。このトリック(プレイの1勝負のこと)は司さんの勝ち。
勝った司さんが今度はハートの3をリードする。俺はまた、彼から受け取ったハートの7をリードして今度は勝つ。
「集中できないようなら話しかけないけど、どうすればいい?」
「いえ、構いません。どうぞ」
「そう、じゃあ……小虎くんはブラックマリア初代総長って誰だと思う?」
クラブの8を出せば、司さんはクラブの10を出した。また、司さんがトリックを取る。
「仁さんかなと思ってましたけど……司さんなんですね?」
「うん、そう。俺が総長で、仁が副総長だった」
「……そうですか」
「ていうか、仁かなーって思ってたのに、本人には聞かなかったんだ?」
「……聞く必要がないと思ったので」
彼がハートのジャックを出す。俺はハートのクイーンを出した。今回は俺の勝ち。
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