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そんな感じで、俺と内山はなんとかバイトを成功させ、順風満帆な日々を過ごしていた。
当初心配していた非行少年たちの喧嘩なども起きることはなく、カシストは確実に良い風に乗っている。


「……ふぁ」

「でっけーあくびだね?」

「うっせー。こちとら眠いんじゃ」

「トラちゃんだけに? ぷふっ!」


笑えん。笑えないぞ内山よ。

今がノリだ。なんて言う仁さんの命令により、週五シフトのはずが毎日バイトをしている俺と内山の睡眠は常に学校で取られている。
もともと授業なんてそっちのけな我が高校では、それを咎める教師もいないのだから最適な場所なのだ。

ただ……不満を言えば、うるさい。

そう、とてつもなくうるさい。
なんとかちゃんのおっぱい最高とか、なんとかちゃんの締め付けやばいとか、そんな下ネタどころの騒ぎではない話題が教室のあちらこちらで飛び交い、そのたび響く笑い声。
よくまぁこの環境下で仮眠を取っていたと、自分を褒めてやりたいくらいだ。


「静かな場所とかねーのかよ……」

「えー? 俺と二人で静かに過ごせる場所ぉ? やだー、トラちゃんって意外と大胆?」

「はいはい、眠いのね内山くん」

「キャー、バレター」


現在授業中である教室にて、互いに机へ伏す俺と内山は、眠い目を細めながら辿り着けそうにない夢の世界へと思いを馳せる。
そのせいか、二人して言動が不審だ。いつになく。


「あー……眠い……」

「んー……じゃさー……静かな場所、探すぅ?」

「あー?」


目に痛いほどのオレンジ髪の内山が、頬をべったりと机にくっつけたまま俺に問う。
ちなみについ三日前までの髪は緑色だった。


「探すって……本気で言ってんの?」

「本気ほんきー。どこら辺がいーい? 美術室? 調理室? 理科室?」

「え、ちょ……」


眠すぎて正常な判断ができていないのか、内山は次々と特別室の名をあげる。
少しだけ眠気が飛んでいった俺は起き上がり、軽く内山の髪を引っ張った。


「いたーい、やめてー、暴力はんたーい」

「どの口が言ってんだ」




 


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