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感動の再会シーンでラストをかざった画面には今、エンディングロールが流れている。
頬を伝う涙が膝に落ちれば、ふと肩に重みを感じる。見てみれば、俺の肩に頭を乗せて眠る志狼がいた。

本当はベットまで運んでやればいいのだろうが、生憎と俺にはそんな体力も腕力もない。
ゴミ箱を埋め尽くす丸まったティッシュを見て、思わず苦笑した。


「……ん、終わった?」

「あ、ごめん。起こした?」

「……んー……」


苦笑して肩が揺れたのだろうか、重い瞼を必死に開けた志狼が俺をジッと見つめてくる。
寝起き特有の濡れた瞳が綺麗で見つめかえしていれば、なんだか急に、志狼の顔が近づいた。
まつ毛が長いなー、とか思っていれば、頬をなにかがヌメリと通る。


「しょっぱい」

「……え?」


してやったり顔で微笑む志狼を凝視して数秒後、頬に触れた正体に気がついた。――舐められたのか、俺。
理解したと同時に笑いだせば、志狼がまた、頬を舐めた。


「ちょ、止めろって。犬かよオメーは」

「犬……ではないけど、まぁ小虎になら尻尾振ってあげてもいいよ」

「生憎と、俺はアホの尻尾でお腹いっぱいなんです」

「雄樹のこと? 確かに小虎に懐いてるもんね」

「まぁね。……って、くすぐったいってば」


話の合間合間に生暖かい志狼の舌が頬を舐める。
くすぐったくて身をよじれば、彼の手が俺の肩を押さえてきた。


「しろー、もう降参。もうおしまい」

「んー……まぁ、いっか」


なにが「いっか」なんだ、なにが。
そう思って軽く睨んでやれば、嬉しそうに微笑んだ志狼が頬にキスをする。今度こそ驚いて見つめればまた、志狼はしてやったりと笑った。


「俺なりの友情の証だよ、小虎」

「なんじゃそりゃ、ははっ、そりゃどーも」

「うん、じゃあはい、小虎も俺にして?」

「はぁ?」


ちょ、俺たちはどこの外人だよ。頬にキスして挨拶とか、奥ゆかしい日本人にはハードルが高いぞ。あれか、今まで洋画を見てたからなのか。
困っていれば志狼がまた俺の頬にキスをする。なんだか引かない気がしてとりあえず頭を撫でてやれば、志狼は見えない尻尾を確かに振っていた。

それから夕飯もラブホで済ませた俺たちは、また明日とその日は別れたのであった。ちなみに志狼は俺を家まで送ってくれました。女の子じゃねぇんだけどなぁ。




 


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